崩れ落ちた火蓋 8 ページ30
聖杯戦争というのは神秘の秘匿があってこそ行われるものであり、それを覆されるとイコールで神秘の消失、そして聖杯戦争の継続が不可になる。
それが悪い方向へと転がると最悪世界自体が存続不可能になる可能性もあり、神秘の秘匿とは聖杯戦争、そして魔術においてなによりも尊重される。
下手に派手に戦闘するよりは暗殺でもする方が始末が楽で良いのではと、如月は考えた。
「なあランサー、槍って投げたら当たるか?こう…絞るだけでなんとか」
身振り手振り、正しくボディランゲージでどうにか伝えることが出来ないかと全身を思う存分活かす。
それはあまりにもふわっとした表現であり、足元のおぼつかないものだった。
「んー、私はアーチャーじゃないから出来ない…かなぁ」
そんな感覚的な表現がどこか面白く、また理論的な彼に似合わず子供染みたやり方に少々可愛らしさを覚える。
ランサーはからかいたさから苦しい顔で言い淀む振りをした。
「うん、流石にルーンでどうにかみたいなのは無理だよね…ごめん、ランサー」
如月が一瞬落胆したような表情を見せ、それから首を振るって取り繕った笑顔で否定する。
「えっ、いや、ね?あのっ、ね?ね?…出来るんだけどなぁ」
如月の予想外の反応に困惑し、繋ぐことのできない言葉が宙を舞い、事実を小声で呟く。
「マジ?」
「マジ。光神なのだから、ね。逸話は性能に適応される。つまりそういうことだよ」
ランサーがにっこりと微笑み、胸を張って言い切る。
彼の投げたものは全て的中する。
それは文字通り全て的中するものであり、ふと好奇心から投げたものですら誰かの命を奪ったものでもあった。
「…わかった。それにルーンが加味されるってこと?」
「そうだとも。よし、投げにいこう」
ルーが立ち上がり、玄関へと向かう。
それに続いて如月も行く。
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年8月26日 22時