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崩れ落ちた火蓋 6 ページ28
夢を、見ていた。
それを夢だと認知できたのは客観的に自分を見れていたことからわかってしまう。
否定したい現実があろうと
どこまでも白が広がる空間に、幼い記憶だけが存在する。
「母さん、僕大きくなったら母さんみたいになりたいな」
幼い俺の声が明瞭に聞こえ、耳を塞ごうにも塞げない。
否、塞ぐことに意味はない。
脳内に響く声は耳を塞いだところで響くのに変わりがないからだ。
「そう。それは良いけれどくれぐれもアレみたいな存在にはならないでくれるかしら」
「どうして?」
「当たり前のことをきかないでくれるかしら」
その言葉を最後に、光景は消えて響く声もなくなり、そしてまた虚無が広がる。
冷や汗が頬を伝っていき、思い出したくもない記憶が連鎖しかねないこの状況に目を固く閉じる。
どうか早く目が覚めてくれと祈りながら。
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年8月26日 22時