新しい仲間 ページ10
【緑谷side】
いつも通り登校中に合流し雄英の校門をくぐろうとしたが
麗日さんが足を止めたことで僕達も立ち止まった
「あの人なんかこっち見てる？」
「む、見ない顔だが」
そう言った視線の先には少し変わった髪色をした僕たちと同い年くらいの人がいた…
「って…こっち向かってきてない！？」
「そのようだな」
僕とは違い冷静に対応する飯田君を横目に、相変わらずの人見知りのせいで後ろに後退したことに
驚いたのか目の前の彼は少し息を切らしながら僕たちの自己紹介とともに人の好さそうな笑顔を向けた
「えーっと、君たち雄英の生徒だよなちょっと頼みというか助けてほしいことがあるんだけど」
僕達ヒーロー科にとって誰かを助けるってことはとても意味のあることで
そんな僕たちが彼の頼みを断るわけもなく彼と行動することになった
頼みというのがただの学校案内だったがこの際彼を助けられたのは変わらないので気にしない
「じゃあ、君が相澤先生の言ってた人か」
「外人さんだなんて喋るとき緊張しちゃうね」
そんなことで彼と一緒に教室へ向かうことにした僕たちは自身の個性について話していた
話を戻すが彼の名前はルドガーというらしい。
昨日相澤先生が言っていた訳あり転校生というわけらしいが
その訳のことについては
あまり話してくれなかったから特に気にすることも(…ちょっとは気になっているが)なかった
「出久君の個性もすごいよね！こう…バシューンって感じで！！」
「そうだな、使いこなせばきっといい個性になる」
「それが使いこなせればいいんだけどね…」
授かりものだけどこうやって認めてくれる人がいるだけで僕の努力が無駄じゃないって
分かるからこの学校に麗日さんたちに会えてよかったって思えるんだけど
そんな気持ちを心に収めつつ話を聞いていた
「それで、ルドガー君の個性ってどんなのか気になるな」
麗日さんだけではない。この社会にいる人ならば誰もが気になることだろう
ましてや雄英に来るほどの個性なんて
「それが、個性ってよくわからなくて使えないというかそもそも無いというか」
「それじゃあ君は無個性なのか！？」
「まあ、そうなるよな」
なんて申し訳なさそうに笑う彼だが僕は無個性がどれだけ辛いことなのか知っている
しかし彼は特に気にしていないようだった
「こう見えても器用なんだ、だから頑張るよ」
最後の言葉はここじゃない誰かに言っているようだった
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作者名：白桜 | 作成日時：2018年2月7日 21時
