尋問 ページ3
【相澤side】
親とはぐれたのか敵を倒し終わった後でも
助けた子供が俺の傍を離れることはなかった
「おいお前、自分と親の名前。それと分かればでいい、住所とか電話番号とにかく身元が証明できるやつあるか」
見たところ年齢は７，８頃だろう
個性の影響なのか少し変わった髪色の少年は俺の声に反応して目を向けた
「えっと、名前はルドガー、ルドガー・ウィル・クルスニク。
親は・・・申し訳ないが記憶にないがもしいるなら会ってみたいな」
そういって眉を下げながら謝る子供は
見た目には似合わずとても大人びた喋り方をしていた
そもそも親を知らないなんてあることなのか
もしそうならば、そういった場合の可能性を整理していく
何処かの孤児院にでもいたのか
それとも先ほど戦った敵に関係しているのか・・・
後者であれば事情が変わってくる
俺は近くにいたどこかの部署に努めているであろうサイドキック数名に
この子供の身元を調べるように指示し子供に向き直った
「何故あの場にいた、敵が怖くないなんて意地でも張ったのか、それとも誘拐か」
「いや、誘拐ではないな」
「やけに落ち着いているがお前あいつらの仲間か？中には子供を誘拐して敵に仕立て上げるなんてやつもいる。お前はあそこで何をしていた」
「敵なんて知らないしさっきの奴はモンスターとは違うのか
悪いがさっき目が覚めたというか生まれ変わったというか」
そういって子供は何かを考えているようだった
意味の分からない言葉を並べ俺に確認するように聞いてくる
質問(尋問)をしているのはこちらなのに妙な気分だがおれはそのまま会話を続けた
そうして分かったことがいくつかある
まずこいつの正体がわからないこと
そんな馬鹿ななんて思いもしたがサイドキックたちに調べさせた情報が出てこないらしい
似たような名前は出てきたがこの国で・・・いや、この世界で
≪クルスニク≫なんてファミリーネームを持つものはいなかった
そうなるとやはり後者のほうが怪しいが
驚くことにこいつは敵のこと、敵という存在のことを知らないといった
そして極め付きはこの一言
「個性？個性というよりは特技なら料理とか家事とかならできるそれ以外でも教えてもらえばなんとか」
「いやちょっと待てそっちじゃない、例えば炎を吐くとか腕が伸びるとか」
「そんなの出来るわけないだろ！？」
どういうことだ
俺は首を鳴らし先ほどから頭に響く頭痛に耐えながら一つ溜息を吐いた
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作者名：白桜 | 作成日時：2018年2月7日 21時
