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参謀は嫌う ページ10

Aside


首領の執務室から一転、今私の目の前には太宰がいた

いるのは事務所ではない

街を一望できる位置にある高級レストランだ

着ているものもいつもの背広ではなく、レースのあしらわれた黒のロングドレスだ



事の成り行きを話そう



首領の部屋を出たら、待ち受けていた太宰に捕まった

満面の笑みを浮かべる太宰は、「それじゃあ行こうか」とだけ言って、私の手を引いて歩き出したのだ

向かった先は地下に待たせていた車

そしてその車に乗せられ今度は特注品を扱う洋服店へ連れていかれた

道中なにを聞いても太宰は答えない

鼻歌交じりに携帯電子盤で遊ぶ太宰の姿は、私を大いに苛立たせた

待っていたと言う店員に案内され、用意されていた黒いドレスを着せられ、更にはまともに面倒を見ていなかった髪を結われた

不慣れなヒールまではかされ、何を言うまでもなく車に戻され、太宰が満足気に笑っていた

腹立たしい

だけど、半ば諦めていた私は大人しくすることにした

そうして着いたのがレストラン(ここ)




A「太宰、何の心算だ?」


太宰「現在進行形で君を振り回せているようでとても嬉しい」




喜色満面

整った顔でニコリと笑う太宰に据わった視線を向ける

それを見た太宰は更に笑みを深めた



太宰「部屋を出る前、森さんはなんて言ったか覚えているかい?」


A「何って…」



数刻前のことを思い出す

嗚呼、そう言えば…



A「気分転換に外で食事でもすればいいと…」



事の真相に気づき思わず眉が寄ると、太宰は悪戯が成功した子供のように笑った


可笑しいと思ったのだ

普段の首領なら、気分転換だなんて言わない

それに、首領の招集は見えて(・・・)いたが、太宰に待ち伏せされるのは知らなかった

私の知っていた未来とは違う

犯人は言わずもがな太宰だ


私の異能力は数日後から数十年先までに起こりうることが見えるものだ

直近で見れるのは平均で3日後というところだ

その日急に未来が変わる出来事が起きていても、対処できない

だから太宰という男を相手にするのは嫌なのだ

だから私は所詮太宰の劣化版なのだ




太宰「こうなってしまったのだから受け入れなよ」


A「君に言われると腹立たしいのは何故かな」


太宰「さぁ、なんでだろうね」




俯き加減にそう言う太宰に、少しだけ付き合ってもいいかと思えた

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琥珀恋歌(プロフ) - え、更新停止ですか!?すっごく面白いんですけど!!えぇー、残念です。また、時期が空いてでも更新してくだされば嬉しいです! (2021年9月12日 22時) (レス) id: 7cd883aad7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年7月3日 0時

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