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参謀は跪く ページ8

Aside


毛足の長いカーペットを踏みしめながら廊下を歩く

こうして首領に呼び出さるのは幾度となくあったが、今回は普段と状況が違った

なにせ2週間も呼び出しを無視した後、初の呼び出しだ

わかっていたことだが、身体の芯が震える

生憎、私はどこかの誰かのような鋼の心臓を持っていない

それなりに付き合いが長いとはいえ、首領との会話は気疲れが多いのだ


小さく一息つき、入室の許可を乞う

タイミングがよかったのか返答はすぐに帰ってきた

失礼します。とだけ言いフレンチドアを開く

首領はマホガニー製の机に肘を置き、1人で遊ぶエリス嬢を見つめていた

しかし、私が首領の正面まで行き片膝をつき忠誠を示すと、その視線が私に向いた




森「久しぶりだね、Aちゃん。体調は良くなったかい?」


A「はい。よく眠れました」


森「それはよかった。だが、しばらく見ないうちにまた痩せたようだ」




ちゃんと食べているのか、という問いにただ一言「はい」とだけ返す

それが真実でないことなど首領は気づいているだろう

だがらといって首領がなにか言うわけでもない

このやり取りは、定型文にすぎないのだ


片膝をつき、視線を落とし、微動だにしない私を見つめ、首領が小さく息を漏らす

呆れのような感嘆のような一息だった




森「君は変わらないね。初めて会った時からずっと…」


A「歳をとりました」


森「そうだねぇ。あの頃の君は学生服を着ていた。どれほど前のことだったかな…」


A「…首領が首領になる前夜です」


森「嗚呼そうだ、そうだった。懐かしいねぇ」




そう言う首領の目には何が移っているのか

日が暮れた頃、唐突に姿を現した女学生の姿か

自分をポートマフィアの一員にしてくれと頼んだ愚かな人間の姿か

何かにひどく怯えていた女の姿か

あの頃の自分がこの人にどのように映っていたかなんて、知る由もない




A「こうして参謀の椅子を設けていただき、感謝しています」


森「うん。君のことは高く評価しているよ。枠に収まり、面白みのない作戦だが、実に君らしい実直なものだ」


A「…すみません」


森「謝る必要などない。あれは君にしかできない所業だ。―――1つ聞いてもいいかい?」




首領の質問に「なんでしょう」とだけ返す

それからたっぷり10秒

首領はもったいぶるようにゆっくりと声を発した

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琥珀恋歌(プロフ) - え、更新停止ですか!?すっごく面白いんですけど!!えぇー、残念です。また、時期が空いてでも更新してくだされば嬉しいです! (2021年9月12日 22時) (レス) id: 7cd883aad7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年7月3日 0時

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