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参謀は迷う ページ19

Aside



A「まさか、本当に着いてきて貰えるとは思いませんでした」



黒塗りの車内

薄暗い後部座席に並んで座るのは、私と行方不明とされている坂口さんだ


Lupinに来ることは分かっていた

だから待ち伏せた

武力は用いていない

たった一言、時間をくれと伝えただけ

共に車に乗ってくれるとは限らなかった

予期はあったが、確信じゃない




A「鈴木さん、適当に回してください」




運転席にいる部下にそう告げると、ゆっくりと車が夜の街を走り出す




A「鈴木さんは、信頼に足る人物です。この事が外部に漏れることはありません」


坂口「何故…」


A「それは、何に対しての疑問ですか」




チラリと横目で坂口さんを見ると、彼は黙って私を見ていた

どうやら聞きたいことは沢山あるようだ




A「時間はたくさんあります。1つずつどうぞ」


坂口「…この前言っていた“嵐”と言うのは、今回のことですか?貴女は全て分かって…」


A「それについて言及することはありません。太宰が絡んでいる以上、今更私が何を言おうと無駄です」


坂口「僕のことは…知っていたのですか」


A「坂口さんを見て、私の選択は間違えてなかったと確信しました。どうにも私には特務課は窮屈そうです」


坂口「気づいていたのにどうして…」


A「こうなることを望んでいたから。そう言ったら怒りますか?」




首を傾げてそう問えば、坂口さんは口を噤んだ

声には出なかったものの、彼は自責しているように思えた


私がいてもいなくても、今回のことは起きたことだ

条件はとうの昔に揃ってしまっていた

無かったことにするには手遅れなんだ


切り替えるように背筋を正す

そして車内に用意していたアンティークの小物を3つ、手のひらに乗せて坂口さんの目の前へ差し出した




坂口「これは?」


A「これから起こることを記憶としてそれぞれに残しました。特務課としての坂口さんの役にたちます」


坂口「…どうして僕に」


A「感謝と償いです」


坂口「受け取れません」


A「全てとは言いません。1つでいいのです」


坂口「…受け取れません」


A「私の善意を無下にしないでください」


坂口「理由はそれだけではないですよね」


A「嗚呼…バレてしまいましたか……死ぬつもりなんです。私」

参謀は見据える→←間諜は悔やむ



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琥珀恋歌(プロフ) - え、更新停止ですか!?すっごく面白いんですけど!!えぇー、残念です。また、時期が空いてでも更新してくだされば嬉しいです! (2021年9月12日 22時) (レス) id: 7cd883aad7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年7月3日 0時

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