back-恐怖- ページ9
「A、ほんとバカだな…」
《なによそれ、何よその顔》
ユチョン、私の友達
そして家族
出会ってからと言うものの
お互いがお互い複雑な環境に置かれている
そんな事を感じたのか
惹かれた
何も言わなくてもいい、存在感
空気感
ユチョンがいてくれること
それも長くは続かなかった
A！！
お父さんが倒れたそうよ！！
静かな朝を迎えたはずなのに
私の心は静かさを失った
「…A」
デイジーそんな寂しそうにしないで
ーーー韓国に帰るーーー
頭に浮かんだ決断
今更ながら、私の家族は
日本にも韓国にもいる
会いたくないわけじゃない
いつしかユイさえも、思い出さなくなっていた
ここでの日々に
恐怖を感じた
ここから離れたら私には何が残るの
あぁ、何をしにここに来たのだ
家族から離れるため
事務所から逃げるため
普通になりたかった…
イ・スマン先生は何をみせたかったの
5日後、韓国に帰ることが決まった。
学校に行きいつもと変わりない毎日
クラスが違うデイジーは
一泊二日のキャンプに出てしまった
ー寂しいー
感情をコントロールすることだけしか
出来ない状態だった
「A…」
いつもの場所に行けば
私の名前を呼んでくれる
《ユチョン…》
涙が溢れた
「きいたよ、デイジーから…」
「話してよ」
「俺たちまだ、何も知らないよ」
ユチョン、そうだったね
複雑な事情でアメリカにきた
お互いが
なにも話さずに時が過ぎてたんだ
《…ぐすっ…もう嫌だ》
本当の事を話すのはこれが初めてだったと思う
家族の事
練習生だった事
事務所から逃げてきた事
自分は最低だった事
「…んっ」
なんであんたまで泣くのよ
この泣き虫
《話して、、よっ、、、ユチョン》
あなたの事も知りたい
アメリカンドリームを夢見た家族
現実は親が離婚し
母方に引き取られたユチョンとユファン
生活は苦しく、ひとつのパンを
家族3人で分ける日だってあった
長男だから、ヒョンだから
母さんとユファンを守らなくちゃ
強くならなくちゃ
泣くわけにいかないんだ
《ユチョン、、、、ユチョン》
まだまだ子どもだった私たち
気の利いた言葉すら掛け合えなかったけど
あの涙は、すべてだったね
「A、行かないで、、、」
一人にしないで
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作者名：fany | 作成日時：2015年9月29日 21時
