timing-痛み- ページ5
それから、学校と事務所の往復
好きで入社したわけじゃない
好きでいるわけじゃない
挙げ句の果てには、ハーフだのなんだの
憎悪の感情に押し潰されそうになった私は
壊れていった
ここは韓国学歴社会
中学校を控えると、何人か辞めていく
同期の子たち
ーー羨ましいーー
その感情こそが、ファン・Aを
崩壊に進めた
《今なんていった？？》
「金もねぇのに、なんでここに居るんだよ」
《金があるのに、いつまでたっても
いるお前に言われたくないよ！》
「なんだと、この野郎」
周りもいつもの喧嘩だと思い誰も
仲裁になんか入らなかった
荒れて荒れて
大人が暴れるより可愛いもんだけど
子どもなりに暴れて
誰かに止めて欲しかった
そう思った矢先
「早く日本に帰れ！」
何かがきれた
女子がする喧嘩ではなかった事に
間違いはない
キャーーーーーー！
練習室から悲鳴が響いた
私は頭部を強く打ち意識を失う
喧嘩相手は鼻血
どうみたって私の方が重症なのに
誰も庇ってくれなかった
事務所、いや学校さえも行く気が起こらない
かといって全州市に帰る
そんな事も出来ない
悶々とした心は晴れぬまま謹慎となった
まだ小学5年生
自分の力じゃどうにもならなかった
みんなが先生というある人物が
謹慎中の私に会いに寮を訪ねてきた
「痛いかい？もっと痛いところがあるだろう」
涙が溢れた
辛くて
苦しくて
限界だったのだ
「Aもっと早く君に会うべきだったね」
《ぐすっ、え？》
「やめよう！！なっ？？」
《や、め、る、？》
イ・スマン先生
社長とは違う穏やかな雰囲気
「ゆっくりしようじゃないか」
時間は過ぎ、1998年
その頃、事務所は
神話のデビュー間近だった事もあり
事務所ムードは最悪だった
そんな中でも
イ・スマン先生は優しい笑顔で
「必ずまた会おう」
頷きもせず、笑いもせず
何とも愛想もない顔で
事務所を後にした…
片手には、アメリカの文字
私はどこに行くのだろう
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作者名：fany | 作成日時：2015年9月29日 21時
