change-渡韓- ページ3
1996年
私の名前は、韓国名に変わった
ファン・A
10歳
決して裕福でもなく、貧乏でもなく
普通の家庭だったファン家
父親と2人暮らし
働き通しの父親
お母さんに会いたい
ユイ(妹)にも会いたい
そんな気持ちが溢れそうになるのを抑えた
父親にだって心配かけたくない
小学生ながら、そう思っていた
ある日、父親の親戚に会うために
全州市からソウルまで来ていた
カンナム駅
そこは、見た事もない都会
バスターミナル
人も多い
大阪育ち
渡韓して住んでる場所は全州市
田舎寄りの人間だった私は
都会の街並みを見るなり興奮したのを覚えている
この時の格好なんてお世辞にも
可愛いとは言えない親戚の姉から譲り受けた
所謂、お古を着ていたのだ
自分はそれが可愛いと思っていたが
都会に出ればそうは行かないのだと
そんな事も考えた、生意気な小学生だった
カンナム駅
バスターミナル
目の前に見えるのは、可愛いハンカチ
落ちてる…
《可愛い…》
色はピンク
目の前には、スタスタ歩くスーツ姿の
おじさん
この時迷わず、走って「おじさん」を
追いかけたのを今でも覚えてる
ピンクだから女の人って考えは無かったのか
なんて、今なら思うけど
ハンカチの先はおじさんしか
歩いていなかったし
ハンカチがぬれてたから
泣いてたらどうしよう？って
おじさん目掛けて、父親の声を無視し
走ったあの日
人生をかえる事になんて
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作者名：fany | 作成日時：2015年9月29日 21時
