油断 ページ8
V「くそっ!しつっこいなこの糸!」
慧人「おかわりはまだまだあるよ?」
V「調子に乗るな!こんな糸すぐに切り刻んでやる!」
さっきとは立場が逆転し、今度は僕が奴を追い詰めていた。追いかけて来る糸に痺れを切らしVは自慢の爪で糸を切ろうとするも・・・。
V「っ!硬い・・・!」
慧人「さっき言わなかったっけ?強度を強くしてあるって」
僕の能力で強化されたそれは、切ることさえ困難だ。奴の爪もそこそこ強いが、それでも数本切るのがやっとのようだ。
そしてVが糸に対抗しようとしたその隙を狙い、さらに別の複数の糸で奴の全身を縛り上げた。
V「ぐぁ・・・!」
慧人「捕まえた」
そう言いながら、自身の口角が上がるのを感じる。
自身の糸を操る能力と狙った対象を逃がさないという特性から、僕は敵味方問わず“蜘蛛”と呼ばれている。その“蜘蛛”から逃げるのは、たとえ凶悪な吸血鬼であろうとも不可能なのだ。
V「う、が・・・、はな、せ・・・!」
慧人「残念だけどそれは出来ない。渡航者を攫おうとするだけでも重罪だから見逃すことなんか出来ないよ。・・・それに、君は多くの人間を殺しているようだからね」
罪を犯した者はLDHの本部に連れて行かれ、そこで判決が下される。しかしこいつのように大勢の人間を殺害した者は危険な存在とみなされ、その場で処刑することが許される。
ただ僕のような若手がその判断をする権限は持っていない。だから応援が来るまで、ここで捕らえておく方がいいだろう。
念の為逃げ出さないように奴の身体を完全に拘束しようとしたその時___背中に激痛が走った。
慧人「がっ・・・!」
V「はい、一丁上がり〜」
突然の攻撃に崩れ落ちながらも力を振り絞って後ろを振り返る。そこには今捕らえているはずのVが僕を見下すように立っていた。
慧人「おま・・・。なんで・・・」
V「ククク、さっきまで君が闘ってたのは僕が見せていた幻だよ。君が1人で暴れている様子は実に滑稽で面白かったなぁ」
そう言いながら、Vはさらに僕の背中を斬り付けた。
慧人「あああっ!!」
V「アハハハハ!さあ次はどこを傷付けて欲しい?腕か、それとも足か・・・」
ダメ・・・、だ・・・。力が・・・、入ら・・・、ない・・・。
勝ち誇った奴の高笑いを最後に・・・。僕は、意識を失ってしまったのだった。
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樽美酒みき(プロフ) - 後どのくらいで「シリーズ3」の更新をやってくれますか? (2022年1月12日 11時) (レス) id: 86fc452f95 (このIDを非表示/違反報告)
竜の騎士(プロフ) - えりりんさん» わわ、読んで頂きありがとうございます!まだ形にはできていないですが、新作も考えているので楽しみにしてください^_^ (2021年12月25日 9時) (レス) id: 796a1a3707 (このIDを非表示/違反報告)
えりりん(プロフ) - この話ほんとに大好きで、リピして読んじゃいます‼︎また新作作って欲しいです☺︎ (2021年12月24日 0時) (レス) id: 1e51f37598 (このIDを非表示/違反報告)
童磨(プロフ) - 続きが気になります!! (2021年7月27日 20時) (レス) id: ce28b5a547 (このIDを非表示/違反報告)
高崎はる(プロフ) - 良かったです、バリは利樹がちょっと出たけど、更新楽しみにしてますね (2021年7月17日 19時) (レス) id: 7c69a541ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竜の騎士 | 作成日時:2021年7月16日 13時