story5★ ページ7
今まで感じたことの無い痛みに襲われた。刹那、悪寒が走った。
"私は……何をしているのだろう"
そう思って自分の手を見つめる……争いに意味を感じていなかった私が、人を殺めようとした。あぁ、こうやって争いは続いていくのか………
人を殺めていいはずがない、それは私だけでなく……全ての者に共通する事だ。ここで人を殺めれば、もう……戻れなくなる。
私は手から滑り落ちた剣を拾わずに走り出した。痛み、悲しみ、怒り、絶望感、その全てを振り切るように………私の頬を伝っていた熱い涙は、虚空へと消えた。
私は走る。だけど………捕虜となった母の姿が、瓦礫の下敷きとなったアラムの姿が……頭から離れない。いつか………助ける、絶対に。
それだけが、今の私の生きなければならない理由だ。助けるまで、死ぬわけにはいかない。
.
そして、私が辿り着いたのは……深い深い…森の中。
"もう……限界…………"
あれからどれほどの距離を、何日走ってきただろうか……何度も挫けそうになった。その度に私を突き動かしたのは、生きたいという思い。
だけど、もう思いだけではどうにもならないほど、私の体はボロボロで………走ることは叶わなかった。
私は成すすべもなく地面に倒れこんだ。生きていたいのに………それすら叶わないのか……
そう思って絶望したのと同時に、私は目をゆっくりと閉じた………
.
それからどれほどの時間が経っただろうか………前方から足音が聞こえた。しかし、それが聞こえた時には既に………私の意識は闇の中へと落ちていた…………
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時:2018年2月15日 15時