story25☆ ページ27
村に入ると、そこは不思議なほど静かだった。
風の音さえ聞こえない。
アリシア「この村はずいぶんと静かなのね」
ヴィトル「もう夜だからな···。この時間に外にいるやつなんて、あいつくらいだろ」
あいつ?そう聞こうとしたとき···
「あら、ヴィトルちゃんじゃないの!」
40代くらいだろうか、厚化粧の顔にまるっこい体をした1人の女性が話しかけてきた。
ヴィトル「やっぱりな。おばさんならいると思ったよ」
「あら、おばさんなんて失礼ね。お姉さんよ、お・ね・え・さ・ん」
ヴィトル「はいはい、宿屋の看板娘なんでしょ。わかってますよ」
アリシア「宿屋の方なんですね!」
宿屋の女将「あら、ヴィトルちゃん、いつのまに彼女できたのよ!?」
ヴィトル「ちげぇよ、いろいろあって、今ふたりでヴァルター探してんの。うちの診療所にも、隣村んとこにもいねぇんだよ。おばさん知らない?」
宿屋の女将「さぁ、わからないねぇ···。宿の人にも聞いてみようか?」
ヴィトル「あぁ、そうしたい。ついでに今夜泊めてくれないか。こいつが足痛めちまってよ」
宿屋の女将「もちろん!大歓迎よ!彼女さんとは一緒の部屋がいいわよね!」
ヴィトル「だからちげぇって!」
思わず私は吹き出してしまった。
アリシア「漫才してるみたいね」
ヴィトル「こいつがうるせぇだけだよ」
宿屋の女将「あら、ひどいわ」
静まり返った村に再び三人の笑い声が響いた。
明日になれば、きっとヴァルターもすぐに見つかるだろう、なんとなくそんな気がした。
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作者名:セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時:2018年2月15日 15時