少年少女エクスピエート【劣等少女３章】

11. 混乱 ページ11

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　当然ヴィオルドも騒ぎを聞いて飛んできた。そこでAたちと遭遇する。

「二人は大丈夫だったか？」
「大丈夫よ、ありがとう」
「混乱がすごいし、僕たちは店に帰るよ。あとで詳しく聞いてもいい？」
「ああ、この場が収まったら一度店に顔を出す」

　ヴィオルドはネストレと約束を交わすとすぐに馬車の方へ走っていった。突然の事態で静かに動揺しているA。ネストレは彼女に優しく話しかけた。

「店に戻ろう。ユリウスさんにさっきのことを伝えて、店を閉めてもらおうか」
「……ええ、そうね、そうしましょう」

　ネストレは平静を装おうとするAの肩に手を添えて歩き出した。二人は人混みの中を縫って通りを進む。混乱した人々は一斉に逃げようとするため、前に進むのがやっとであった。


　二人が帰ってくるよりも前に、噂をききつけていたユリウスは店を仕舞っていた。なんとか店へたどり着いたネストレはAを椅子に座らせる。そんな彼に、ユリウスは心配そうに話しかけた。

「お帰りなさい、二人とも。カリーナは一緒じゃなかった？」
「カリーナはずっと店にいたのでは？」
「それが、二人が出かけてすぐに『やっぱりパレードを見たい』と一人で店を飛び出して行ってね」

　ユリウスのその言葉を聞いた瞬間、椅子で休んでいたAが音をたてて立ち上がった。

「カリーナが、パレードのとこにいるの？」

　事件があったときよりも慌てた様子でユリウスに聞き返す。

「そうだと思う。私はこれからカリーナを探しに行く。二人はここで待っていてくれるかな」
「私も行く！ 私なら魔法があるし、何かあってもカリーナを助けられるわ！」
「たぶんA達のように人が多くて足止めされてるだけだろうから、迎えに行くだけで大丈夫だよ」

　突発的に行動しようとするAを宥めて、ユリウスは外套を羽織った。

「それでは、行ってきます」

　ユリウスはドアに手を掛け、逃げてきた人々とは逆の方向に消えていった。

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