吸血鬼FANTASTICS！

お人好し ページ40

堀夏さんから強烈な殺気が発せられ、私の肌にチクチクと刺さっていくのを感じる。
しかし私だって諦めない。世界さんから堀夏さんのことを頼まれている以上、ここで逃げるわけにはいかないから。それに･･･、このチャンスを逃したら、堀夏さんは2度と心を開かないような気がしたのだ。だったら堀夏さんの殺気に怯えてる場合じゃない！
その決意を胸に、私は真っ直ぐに堀夏さんの目を見返す。



堀夏「･･･今の忠告聞こえなかった？これ以上俺に関わったら命はないって」

「･･･やってみてくださいよ」

堀夏「は？」

「本当に嫌なのなら私を殺せばいいじゃないですか」

堀夏「なっ･･･！」



まさか私がここで食い下がると思っていなかったのか、動揺する堀夏さん。
ああは言ってたけど、堀夏さんは私を殺すつもりなんかないと思う。恐らく私が自分から離れるように脅してるだけだ。そんな堀夏さんをよそに、私は更に言葉を続ける。



「みんな心配してるんですよ、血を飲まなくなった堀夏さんのことを。私はそんなみんなの気持ちを堀夏さんに伝えに来ただけです」

堀夏「だからって･･･、お前には関係ないだろ･･･！別の世界の、しかも異種族の問題に首を突っ込むなんて、どうかしてるとしか言いようがない･･･！」



･･･確かに私は異世界人だ。ここに永住するわけでもなく、時間が経てば元の世界に戻るだけの存在。この件に関しても私がいないとダメということでもない。
でも･･･、それでも･･･。



「私がやりたくてやってるので」



ただ私は堀夏さんに笑顔でいてほしいから。いつまでも過去を引きずって心を閉ざしていてほしくないから。その思いで今私はこうして堀夏さんの前にいるんだ。
そんな私の毅然とした態度に、堀夏さんは呆れたようにため息を吐く。



堀夏「それだけでここに来るって･･･、お人好し過ぎるだろ･･･」

「なんとでも言ってください。これは私の自己満足なので。それに＿＿＿」



一拍置いて、私は言葉を告げる。



「私、堀夏さんと仲良くなりたいんです」

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