吸血鬼FANTASTICS！

突然の出来事 ページ1

トットットッ･･･



人通りが少ない路地裏に響き渡る自分の足音を聞きな
がら、私は家に続く道を足早に進んでいた。



大学の授業がようやく終わって帰るところで、私は胸を弾ませながらイヤホンを耳に入れて音楽を再生する。



イヤホンから流れてきたのは、私が大好きなFANTASTICSの曲「Hey,darlin'」。
最近はこの曲ばかり聴いており、歌詞も覚えてしまった。
この曲のメロディーは悲しげだが、私にとっては聴き心地が良く登校中も家にいる時も繰り返し聴いていた。



ちなみに私がワクワクしている理由はこれだけではない。
今日の夜にFANTASTICSのオンラインライブが開催されるためで、つい最近FANTASTICSのファンになった私にとっては初めてのライブだからだ。



いち早くFANTASTICSのオンラインライブの情報を入手し、数日前にライブ視聴のチケットを購入した私にとって、この日が来るのを待ち侘びていたのである。



「楽しみだなぁ」



思わずそんなことを漏らしながら、ニヤニヤを抑えきれてない私は、傍から見ればヤバい奴だと思われていたかもしれない。
幸い周りに誰もいなかったが。



そうしてしばらく歩くと見慣れた一軒家が姿を現し始め、私はライブを早く見たいがために咄嗟に走り出したその時。



突然、辺りが“真っ暗”になった。



真っ暗と言っても急に夜になった訳ではなく、空も周りにあった家々も、地面さえも。
墨でもぶちまけられたのかというぐらい黒くなり、何も分からなくなった。



「え･･･！？」



予想もしなかった出来事に驚くも、息をつく暇を与えさせないかのように猛烈な眠気が襲い＿＿＿



私は意識を失った。

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