3.夫婦喧嘩かな? ページ3
sideA
「テメェふらっと居なくなったと思ったらまた女に声掛けてたのか萩原コノヤロー!!」
「陣平ちゃん痛い痛い、ってほんとに痛い!」
私と萩原さんの元へ鬼のような形相で向かってきた彼
じんぺーちゃん?と言ったっけ
萩原さんの胸ぐらを掴みぶんぶんと降る
いや、ぶんぶんという効果音じゃ甘いか
ぶおんぶおん、よしこれでいこう
冗談抜きで残像が見えるくらいの勢いで揺らす彼に弁解する萩原さん
慣れているのだろうか…普通に喋れている萩原さんが怖い
「あ、あの」
「あ?何だよ」
ヤ○ザ!!ヤク○だよ完全に!
警察学校生とは思えないよ顔が怖すぎて!!
「え、あ、あの萩原さんは私が落とした時計を拾ってくれて、それを届けてくれただけで……」
それを聞いて固まる彼
だがそれも束の間、萩原さんの方へ向き直り先程よりも少し勢いを弱めてぶんぶん振り回す
「だったら先に言えバカ萩!」
「言わせてくれなかったの陣平ちゃんでしょうが!!」
……ツンデレ嫁と旦那の夫婦喧嘩?
新しい扉を開きそうになっていると
「おいお前」
え、私????
「なんでしょうか」
「一緒に行くんだろ?早く来い」
え、いいの…?
萩原さんはともかく彼は私とほとんど言葉を交わしていない
ぼっち回避は諦めようと思っていたのに
「ほら神楽ちゃん!早く」
「は、はい!」
式場に向かって走る
気にしている場合じゃない
入学式に遅刻とか笑い話にもできないから
カチリ、短針が鳴った
___________
side萩原
「で、神楽…だったか?アイツがどうしたんだよ」
式も終わり、1人部屋でくつろいでいたところに来たのは幼馴染み
「どうしたって何が?」
「とぼけんな
お前が自分から誘うとか珍しいだろ
何があった」
話せ、という圧を感じる
俺が思っている以上に、こいつは俺のことを分かっているのではないかとたまに思う
「別に何でもねぇよ、ただ」
『大事な物なんでしょ?それ』
『はい、すごく』
そう言って懐中時計を大切そうに、愛おしそうに撫でる姿
まるで、それにしか縋れないと言うかのようで
一人ぼっちと言うかのようで
「1人にしちゃ駄目だって思っただけだ」
式の後分かった所属教場
俺達と同じ鬼塚教場
明日会ったら、何と声を掛けようか
「陣平ちゃ〜んしりとりしよ
林間」
「分かりやすく話題を変えたな」
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作者名:ハオリ | 作成日時:2023年4月14日 0時