1.蕾桜と紅い追憶 ページ1
今まで積み重ねてきた、たくさんの記憶
忘れられない…思い出
その中でもいちばん紅くて、苦しい、そんな記憶
むせるような鉄のにおい
それと混ざり合う硝煙のにおい
見たくない見たくない
そう思っても目が離せない
嘘だ嘘だ
脳が理解を嫌がっている
でも、目の前の光景が、嘘じゃないと言っている
何で何で
そんなの簡単なこと。分かりきってる
私がいるから
床に横たわるヒトガタ
周りにできた紅くて黒い水溜まり
父と母、だったもの
暗い暗い、昔の記憶
__________
数年後、警視庁警察学校門前
その女は、桜吹雪の中凛と立っていた
手には大きなキャリーケース
生活に必要なものは全て、ここに詰まっている
いや、1つだけ異常なものがある
キャリーケースの奥底にあるハンカチにくるまったナニカ
ワルサーP38
世界的大怪盗、ルパン三世の愛銃と同型だ
それが何を意味するか、今はまだ彼女しか知らない
風に乗り散らばる5枚の花びら
一枚は、公衆電話で恋人と話し込む男へと
二枚は、童顔な黒髪の男と肩にかかるほどの髪の男へそれぞれ
二枚は、金髪と青目の男と猫目の男へと
そして遅れて一枚、彼女へと
ふわり、風が舞った
彼女の背中を押すように
門の向こうへ、静かに歩む
桜を背負う覚悟を持って
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作者名:ハオリ | 作成日時:2023年4月14日 0時