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『姉ちゃん!』
先程までツンケンしていた彼の態度はコロッと甘えたに変わり、彼女の足元に引っ付いてはニコニコと笑っている。そんな彼の表情の変化に思わず驚いてしまうも、Aは「またね」と沖田に手を振った。
「友達?」「……まぁ」「良かったね」
そんな沖田兄妹の会話を耳の奥で聞いていた彼女だが、いつのまにか校庭には自分以外の子供がいなくなっていることに気付く。
世界から人が消えてしまったような気がして、不安になった彼女は高杉を探しに行こうとするが、次の瞬間、彼女の身体に浮遊感が襲った。
『あぶねーから降りろ』
ストンと地面に降ろされ、「何してんだ」と言う声に振り向けば、そこには彼女の待ち焦がれていた高杉が立っている。Aは高杉の足元に抱きつき、「おかえりなさい」と満面の笑みで彼を見上げた。
『待たせて悪かったな』
どうやら武市に迎えにくるよう電話をしていたらしく、校門を出れば二人の前に黒塗りの外車が停まる。武市は二人に労いの言葉をかけ、Aは車の中で友達ができたことを高杉に報告した。
『……A、これから俺は用事があって会社に戻らなきゃならねェから、家で一人で待ってられるか?』
『大丈夫です』
留守番はまだ怖いが、自分はもう小学生だと我慢する。マンションの入り口で高杉を乗せた車を見送ったAは、そのままエレベーターに乗ろうとするも、エントランスにある鏡に映る自分と目が合う。
ランドセルを背負っており、せっかく可愛い服も着ているのだ。それなのに直ぐに家に帰ってしまうのはもったいない気がして、Aは再びマンションの入り口をくぐった。
一人で外出するのは高杉と出会って以来始めてだあり、彼女の心臓はドキドキと波打っている。高杉との約束を破ってしまったことが気にかかるも、帰ってくる前に戻って来れば大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
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ぴよこ - こんにちは。ハルさんが、占いツクールを引退してしまうとは寂しいです。でも、私はハルさんを応援します。 最後に、ハルさんが、大好きです! こんなに綺麗で、感動する作品をかく方を、私は他に知りません。 一番大きです! 今までありがとうございました。 (2018年10月1日 17時) (レス) id: 2dbadd9a51 (このIDを非表示/違反報告)
氷月(プロフ) - 少し涙腺崩壊しましたwハルさんの作品の雰囲気とても好きです!これからも頑張って〜! (2018年8月7日 16時) (レス) id: f4133f3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
えまこ(プロフ) - こんにちは。ハルさんの作品全部大好きでした。ひとつ質問なのですが、こちらの作品の続編はもう書かれませんか?新しいことに挑戦しているハルさんを応援しています、頑張ってください。 (2018年6月17日 16時) (レス) id: e4c4f608b1 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんにちは☆最初から読み感動させてもらいました(>_<)これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年6月15日 13時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - 美鶴さん» わぁわぁわぁ!! 美鶴さん!! ありがとうございます( ´ ∀`) 嬉しいです!! もう来週くらいまで迫ってきてしまいましたが、どうぞお時間が空いた時にでも見ていただけるとありがたいです!! ちゃんと生きてると思いますので、よろしくお願いします笑 (2018年6月11日 21時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2018年3月17日 19時