□13y/o「chestnut coLor brat」 ページ30
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『――ねえ、総悟くん。
男の人って何貰ったら嬉しいかな?』
『……なんでィ、突然』
『今度ね、晋助さんの誕生日なの』
ついに明日からは待ちに待った夏休みが訪れる、終業式の今日。先日返されたテストは既にゴミ箱に捨てられ、沖田は面倒臭い登校日に大きな欠伸を見せた。
そんな中で、彼の隣の席であるAからの質問の答えを、涙の滲んだ目をこすりながら考える。
『俺は高杉のこと知らねェけど、土方はマヨネーズをやると喜ぶ』
『うーん……晋助さんマヨネーズはそこまで好きってわけじゃないからなぁ』
毎年のようにAは高杉への誕生日プレゼントを考えては頭を抱えていた。小さな頃は似顔絵や手紙を渡していたものの、流石にこの歳だ。
形に残るものをあげたいと、彼女は考えている。
『なんでも喜んでくれんじゃねーの?』
『だからこそ難しいの』
少し唇を尖らせたAは浅い溜め息を吐いて机にうつ伏せた。まだ高杉の誕生日まで二週間以上あるものの、二週間で決まるのかが怪しい。
高杉の好んで身につけているブランド物は、いくら同級生よりも多めにお小遣いをもらっている彼女ですらも届かぬほど高価である。それに高杉は欲しいものは自分で買うため、余計に難しいのだ。
『明日、暇だから選ぶの付き合ってやろーかィ?』
『いいの!?』
勢いよく食いつくように顔を上げた彼女に少し驚いた沖田だが、肯定の意味で頷く。Aはたちまち嬉しそうに顔を綻ばせ、明日の朝の10時に駅前で待ち合わせを決めた。
沖田は取っ付きやすい上にイケメンであり、クラスどころか学年でも人気である。そんな彼が誕生日プレゼント選びに付き合ってくれることが彼女には嬉しいのだ。
同じ小学校から来たと言っても、大人しめな自分と彼は釣り合わないとAは思っていたが、それでも沖田が自分を気にかけてくれていることに、彼女は感謝していた。
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ぴよこ - こんにちは。ハルさんが、占いツクールを引退してしまうとは寂しいです。でも、私はハルさんを応援します。 最後に、ハルさんが、大好きです! こんなに綺麗で、感動する作品をかく方を、私は他に知りません。 一番大きです! 今までありがとうございました。 (2018年10月1日 17時) (レス) id: 2dbadd9a51 (このIDを非表示/違反報告)
氷月(プロフ) - 少し涙腺崩壊しましたwハルさんの作品の雰囲気とても好きです!これからも頑張って〜! (2018年8月7日 16時) (レス) id: f4133f3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
えまこ(プロフ) - こんにちは。ハルさんの作品全部大好きでした。ひとつ質問なのですが、こちらの作品の続編はもう書かれませんか?新しいことに挑戦しているハルさんを応援しています、頑張ってください。 (2018年6月17日 16時) (レス) id: e4c4f608b1 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんにちは☆最初から読み感動させてもらいました(>_<)これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年6月15日 13時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - 美鶴さん» わぁわぁわぁ!! 美鶴さん!! ありがとうございます( ´ ∀`) 嬉しいです!! もう来週くらいまで迫ってきてしまいましたが、どうぞお時間が空いた時にでも見ていただけるとありがたいです!! ちゃんと生きてると思いますので、よろしくお願いします笑 (2018年6月11日 21時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2018年3月17日 19時