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灯りのついた部屋の扉をノックし、中に入るとHIROさんがPCに向かって難しい顔で仕事をしていた。私に気がつくとすぐに眉間のシワは消え、にこやかな表情に変わった。
『お疲れ様です、あの、』
HIRO「お疲れ。疲れたでしょ、デビューイベント。色々思うことがあったんじゃない?」
『はい。。あの、私、歌とか全然上手くないし、それに、』
HIROさんは私の言葉を遮るように口を開いた。
HIRO「Aには、これまで色々なものを与えて教えてきたつもりだよ。ダンスとそのダンスをする場所、そして共に励む仲間たち。
今度はそれを自分の唯一無二の特技にするんだ。
それには苦痛や苦労が伴うだろう。でもいつまでもそれから逃げていても何も始まらない。そうじゃないか?」
HIROさんの言い分は最もだった。そしてどこまでも正しかった。
HIROさんに文句を言ってやろうなんて馬鹿げたこと考えていたのに、何一つ言うことは出来なかった。
色々なものを与えられたのは紛れもない事実だ。
こうして良くして貰っていることが当たり前じゃないことだって充分わかっている。
それでも自分は特別だとか、私の言うことなら聞いてくれるかもしれないと、心のどこかで一抹の望みを持っていたのかもしれない。
そんな自分がとても嫌になった。
期待してくれる沢山の人のために、私は頑張らなければいけない時なのだと再認識させられた。
そして、腹を括る勇気、弱い自分へのケジメが付いた気がした。
そしてHIROさんは続けてこう言った。
"前にカラオケ行った時に綺麗な歌声だったでしょ"って。
やっぱりHIROさん、それはないです・・・!
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めいこ(プロフ) - のりたまさん» ミスです。ご指摘ありがとうございます。 (2018年8月10日 22時) (レス) id: aeea69314b (このIDを非表示/違反報告)
のりたま(プロフ) - コメント失礼します。 believe it outではなくてBRAVE IT OUTではないんですか?作中のオリジナルのですか? (2018年8月10日 21時) (レス) id: 0c9cd69501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めいこ | 作成日時:2018年3月21日 22時