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第拾参話 ページ18

A目線
「…大丈夫?」
白色の髪に赤い眼を持ち、随分と大人びた少女が此方に手を差し伸べる。
私はその手を取り、立ち上がろうとする。
だが膝が笑ってしまい立てない。
少女は此方の瞳を覗き込み不思議そうに見ている。
やがて手を戻してしまった。
もしや、怒らせてしまっただろうか…
すると少女は隣にストン。と座り此方を見つめる。そして声を出す。
「私の名前は無花果…あなたは?」
急に話しかけられ言葉に詰まる。
「あっぅ、私はA…と言います。」
何故平然としていられるのだろう。
…答えは決まっている。彼女が強いからだ。
「そっかAって言うんだ。鬼と対峙したのはさっきが初めて…?」
優しく心を暖めるように話しかけてくる。
「…はい。運が良かったのか昨日は1匹も…」
「そっか」

グゥ-
お腹から情けない音がする。
思わず顔が熱くなるのを感じた。
無花果と名乗った少女は懐から琥珀色の果実を取り出し、こちらに寄越す。
「今は体力の回復が優先。食べなさい」
口にする…甘くて美味しい。
「無花果…さん?ありがとうございます」
「無花果。」
「え?」
あまりにも素っ気ない態度に思わず聞き返してしまう。
「だから。無花果で良いよって」
「え、あ、わかりました…」
ふと思った疑問を口にする。
「どうして良くしてくれるんですか…?」
「…どうして。だろ」
遠くを見ながら答える。
「……に似てるから。かな 」
ボソリと無花果は呟く。
でも聞き返してはいけないような気がして口を閉ざす。

ガサガサッ
「「っ?! 」」
慌てて2人同時に背後を見る。
「えっとぉ、驚かせちゃいまし…た…?」
栗毛の少女が顔を出している。
「「…」」
私達は顔を見合わせる。
「あの、私、麗衣(れい)って言います。皆さんは人間ですか…?」
あまりにも頓珍漢な質問につい笑ってしまう。
「人間。だよ私達はね」
無花果は何故か黙っている。
麗衣と名乗った少女はえへへーと頬を掻き笑う。
「ですよねーえへへ」
「…どうしてここに?」
無花果が声を出す。ただその声は冷たく跳ね除けるような言い方だった。
「えっとですねー。声がしたので来ました!それに少し心細かったし…」
まるで幼女の様に答える。
無花果が大人びているのとで更に幼く感じてしまう。
「…もし、私たちが鬼だったらどうしてたの」
「んーっとその時はその時です☆」
殴りたいこの笑顔…

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:アニメ
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とある堕天使(プロフ) - 花猫さん» さんくす (2020年8月18日 2時) (レス) id: a3cbec4d52 (このIDを非表示/違反報告)
花猫(プロフ) - いいね! (2020年8月17日 22時) (レス) id: cf66358d19 (このIDを非表示/違反報告)
とある堕天使(プロフ) - ほねさん» さんくす (2020年8月17日 20時) (レス) id: a3cbec4d52 (このIDを非表示/違反報告)
ほね - すげぃです (2020年8月17日 19時) (レス) id: 0dbf8d94d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とある堕天使 | 作成日時:2020年8月17日 18時

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