ビターチョコレートシンドローム 【HQ】

10 記憶 ページ10

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暖かい日差しがカーテンの隙間が差し込んで目が覚め、
スマホの画面に目をやると時刻は9時を指していた


先日の合宿明けの久々のオフなので、どうせなら二度寝しようと
決め込んでスマホを持っていた腕を投げやり目を閉じようとすると、

ピコン、と着信音が鳴り、再び画面に視線を送る




「おはよう」と、京治くんからのメッセージが一件

…そういえば、連絡先交換したんだっけな、
恋人がいる身なので、と警戒心を丸出しにしていたくせに、
彼の悲しそうな顔に勝てなくてあっさりと交換してしまった自分に嫌気が差す






『おはよう』と返して、すっかり目が覚めてしまったので仕方なく起き上がる


思い出す、京治くんとのキス
不意にとはいえ、抵抗出来なかった
あの時、どうしても京治くんを押し飛ばすような事も出来なかった




どうして？なんて、考えても埒が明かなくて、
思考を放棄した







起きたはいいけど、何しよう…
鉄朗は合宿明けで疲れているだろうし、遊びに誘うのは申し訳ない
かといってアウトドアな私は、家にいるのが苦痛だった


ふと、あの時の公園を思い出す
今、あの公園はどうなってるのかな。
さほど遠くない、引っ越す前のその場所は、電車で５駅ほどだったと思う


気になりだしたら居てもたってもいられなくて、
支度をして家を出た









『うわ、随分変わったなあ…』


目的地の最寄り駅で降り、
久しぶりでほとんど変わってしまった建物を見ながら
記憶を辿り足を進める






すっかり変わってしまっても、駅からの道自体は変わっていなくて、
数十分歩くと、なんとかあの場所にたどり着くことが出来た



『……着いた、』



彼とよく遊んだその場所は、周りの柵は塗装され直され、
ブランコはすっかり新しくなっており、
シーソーやジャングルジムなどが増えていた



「え、…Aちゃん？」

ついこの間聞いた、彼の声が聞こえて振り返る、

『け、京治くん！』

「どうして…なんでこんなとこに、？」

『久々に来たくなって…』

「そっか、」

そう、スポーツウェアを着、片耳にイヤホンを付けていた彼が
イヤホンを外しながらふわりと笑う





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