09 依存と独占欲 ページ9
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「お前のその指輪のもう一個の持ち主は、俺の彼女だよ」
その発言を残してアイツの視界から消えたその日の夜
「A？」
『わ、鉄朗か…』
自販機の前に立っている彼女の姿を発見して、
誰もいないのを確認してから後ろから彼女を抱きすくめる
「何買うの」
『うーん、迷ってる…』
「これでいいじゃん」
そう言って彼女を抱きしめたまま勝手に抹茶オレの下のボタンを片手を伸ばして押す
『ね、ちょっと！勝手に決めないでよ！』
「ごめんごめん、でもお前どうせこれ飲むつもりだったろ」
『まあ、そうだけど…』
後ろにいる俺を見上げて眉を潜める彼女
「お前のことならなんでも知ってるんですよ俺は」
そう、俺はAのことなんでも知ってるんだよ
抹茶オレばっか飲むところとか、チョコレートは意外にビターが好きだとか、
それに、
『ん、…、ねえ、誰かに見られたらどうすんの』
「俺は全然大歓迎。胸張ってお前の事自慢するわ」
『馬鹿、！』
俺とのキスが好きだとか、色々
なぁ、赤葦
お前の知らないコイツを、俺は知ってるんだぞ
なんて、小学生じみた反抗心
「お前のこれさ、赤葦だったんだな」
そう言いネックレスに触れながら、核心に切り込む
『なんで、』
「今日これと同じの赤葦が持ってて聞いたらそうだって言ってたから」
『そっか、』
少しぎこちない彼女に不安を覚えて、抱きしめる力が強くなる
『てつろ、苦しい…』
「ん、」
静かで暗い廊下に、目の前の自販機の明かりだけが頼りで
「ソレ渡された時、アイツとどんな話したの」
『……結婚の話』
「結婚しよう、ってか」
下を俯く彼女の顔は見えなくて、自分の中の黒い感情が湧き上がる
なんだよ、結婚指輪ってか？
赤葦ロマンチストすぎるだろ、それになんで此奴は俺がいるのに持ってんだ？
「なーんか、嫉妬しちまうな、」
『鉄朗、…』
顔を上げてこちらを見たAの顔は苦しそうに歪んでいて、
なんだよ、俺のじゃん、俺の彼女だろ
なんて、どんどん自分まで苦しくなる
「なあ、……これからもずっと、離れないでな」
結局、人間は弱い
目の前の幸せを離さず閉じ込めるのに精一杯で、
彼女を抱きすくめた両腕にまで湧き上がった黒い感情が巻き付いたように離せない
そして、
『私が今好きなのは、鉄朗だよ』
彼女もまた、同じ人間だ。
なあ赤葦、俺、証明してやるから
ここにいる女神は、この先も俺を選んでいると。
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海(プロフ) - 青藍さん» 感想ありがとうございます！分身術、主人公に身につけさせておきますね！← ありがとうございます；；これからもよろしくお願いします！ (2020年4月13日 1時) (
レス) id: a056b6c2e9 (このIDを非表示/違反報告)
青藍 - クロぉぉぉぉ！赤葦ぃぃぃぃ！！どっちも推しだからどっちも幸せになってほしい…！！ はっ！いっそのこと夢主ちゃんが分身すれば…！← これからも頑張って下さい！応援してます！！ (2020年4月11日 18時) (レス) id: 2aeb894d27 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - かたつむり。(?)さん» ありがとうございます！切なくてドロドロなお話を書きたかったので伝わっていてとても嬉しいです；；更新少しずつではありますがこれからもどうぞ宜しく御願いします！ (2020年4月11日 17時) (レス) id: a056b6c2e9 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - しかよる。さん» コメントありがとうございます！とても励みになります；；これからもどうぞご愛読宜しく御願います！^_^ (2020年4月11日 17時) (レス) id: a056b6c2e9 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - あ"あ"切ない！！！胸が痛い！！！なんかどっちも好き！！切ない！！(二回目)いやもう、この作品が更新されたら秒でトンできてます...。本当に、これからも頑張ってください！！！めちゃくちゃ応援してます！！！ (2020年4月10日 21時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海 | 作成日時：2020年4月7日 0時
