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02 呪縛 ページ2




「…でさ、余裕がないわけよ。だから、頼む」

『ええ、でも…』


昼下がりの教室、
同じ三年の、同じクラスの目の前にいる佐原Aの両肩を掴みながら懇願する


「なあ、お前ぐらいしかいないんだって、マネージャー頼めんの」

『私一年しか居られないし、今更すぎない…?』

「いや、今年だけでいいんだよ」

そう、今年だけでいいのだ
最近入ってきた一年のリエーフに手を焼かせすぎるし、
猛虎は女子マネが欲しいって言うし、
正直のところ、最近練習試合も多くなってドリンク運びやらなんやら
自分たちですることが困難になりつつある


「来年はまた新しく一年が入るだろうし、俺ら今人数少なくて色々手こずってるの。
お前中学でバレーやってたじゃん?だから頼む」

『まあそうだけど…私なんかでいいの?』

「逆にお前しかいないだろ、それとも他のそこら辺のJKにでもお願いしちゃっていいわけ?」


そうわざと意地悪く問いかけると

『それは…いやだ、』

「だよな、知ってる」

少し小さな声で拒否する彼女が可愛くて、つい笑ってその小さな頭を撫でると、
いじわるしないで、と顔を赤らめてこちらを睨む

「お前のその顔ぜーんぜん怖くないんだけど、むしろそそられる」

『あのさここ学校…!』

「ま、とりあえずやってくれるってことだな」

そういって既に「入部届 男子バレーボール部マネージャー 佐原A」
と書かれた紙をひらひらと見せると、
『最初からその気だったのね!』なんてぷんすかしていたものの、
しばらくしてから諦めて承諾してくれた



「そんじゃ、明日からよろしくな」

『うん、…あのさ、鉄朗』

「ん?何ですかAチャン」

教室の蛍光灯に照らされて反射する、
Yシャツの中に真髄を忍ばせた彼女の首元のネックレスのチェーンがキラキラと輝く

以前それが何かを訪ねた時、彼女はその真髄であるおもちゃの指輪を見せて
『小さいころに貰ったの、顔はよく覚えてないけど、大事なものだから』
とか言っていて、
その時の彼女が大事そうに瞳を閉じながらそれを握りしめるのを横目になんとなく、男か女、どっちから貰ったかなんて聞けなかった
否、聞くのが怖かった


『鉄朗はさ、嫌じゃないの?私がマネージャーやるの、男の子だらけのところに、いるの』

「まあ、…俺が牽制してるし誰も近づかないだろ」

『えっ、』



「それに、

俺がAを離さないからな」

なんて。それは、ただの呪縛に過ぎない


03 キミに盲目→←01 約束



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(プロフ) - 青藍さん» 感想ありがとうございます!分身術、主人公に身につけさせておきますね!← ありがとうございます;;これからもよろしくお願いします! (2020年4月13日 1時) (レス) id: a056b6c2e9 (このIDを非表示/違反報告)
青藍 - クロぉぉぉぉ!赤葦ぃぃぃぃ!!どっちも推しだからどっちも幸せになってほしい…!! はっ!いっそのこと夢主ちゃんが分身すれば…!← これからも頑張って下さい!応援してます!! (2020年4月11日 18時) (レス) id: 2aeb894d27 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - かたつむり。(?)さん» ありがとうございます!切なくてドロドロなお話を書きたかったので伝わっていてとても嬉しいです;;更新少しずつではありますがこれからもどうぞ宜しく御願いします! (2020年4月11日 17時) (レス) id: a056b6c2e9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しかよる。さん» コメントありがとうございます!とても励みになります;;これからもどうぞご愛読宜しく御願います!^_^ (2020年4月11日 17時) (レス) id: a056b6c2e9 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - あ"あ"切ない!!!胸が痛い!!!なんかどっちも好き!!切ない!!(二回目)いやもう、この作品が更新されたら秒でトンできてます...。本当に、これからも頑張ってください!!!めちゃくちゃ応援してます!!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月7日 0時

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