二十六話 ページ26
廊下までやまとが悠馬に引き摺られていく
「待てって話聞いてよ」
「詳しく聞くから
あ、Aはそっちの部屋で待ってていいよ」
『いやいや…悠馬聞いて』
聞く耳を持たず、ずんずんと前へ進んでく
やまとももっと対抗できるだろうに全くせずされるがまま
「大丈夫です。聞くだけなので。」
『まっ…』
言い終わる前に辿り着いた部屋の扉をパタンと閉められた
これ以上は聞くな、入ってくるなと言うように。
仲の良い人が歪み合っているのを見ると心が落ち着かない
部屋の前で待つにしろ中からの声が聞こえたら
耳と扉がゼロセンチになるのが目に浮かぶ
先程の部屋に大人しく戻った私を誰か褒めて欲しい
────────────────
「何でAは泣いてたの?」
「ちょっと心の確認をさせて頂いただけで…」
ベッドのある部屋にたどり着く
やまとも普段ふわふわしている悠馬がこんなに怒るとは
思っていなかったみたいで
内心焦りながらも表情は平常心を表していた
「何の確認?」
「これ以上聞くのは野暮ってもんだぞ」
「…やまとに何かさせられて泣いたわけじゃないの?」
「うーんそれも野暮ってことに…あいたたた!」
握られた腕がみしりと音を鳴らす
「いずれ答えはわかるから!手放して!」
「ごめん、力入れすぎた…かも。」
パッと手を離し、正気に戻るのが早すぎ、と
白テキが入るのではないかというくらいやまとに謝る
「入れすぎです」
「申し訳ない、でも何で??」
語尾が上がり、いつもより体に血が巡っているようだと感じる
「…A普段泣かないです」
「そうですか。俺は関わりがないので、知らないです!」
「開き直るのはなしですよぉ。
いつ知れるんですか?そのいずれってやつは」
「それは…、浦田さんとAちゃん次第ってやつですよ」
「…まさか変なお節介してないでしょうね」
「それ聞くのは野暮ってやつで…あいた!」
平和(?)に幕を閉じ、結局部屋で待っているAのもとへ
心配そうな目で2人を見つめるA
「大丈夫」
やまとと悠馬の声がハモる
『あー、よかったです。』
そう言いながら眉毛を動かし大丈夫か?とアイコンタクトをやまとと交わす
首を大きく縦に動かす動作を見て安心
『お邪魔しました。ごめんね、2人ともありがとう』
そう言って玄関まで見送ると
やまとがポンと悠馬の背中を押し顎をクイッと動かした
「…僕、送りますよ」
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ぱちくりぷんぷん丸(プロフ) - ひなのさん» ご愛読いただきましてありがとうございます!とても励みになります!! (2022年5月11日 17時) (レス) id: 57b5d2b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 作り方上手過ぎます!!めっちゃ好きなお話でした〜! (2022年5月8日 11時) (レス) @page50 id: e92d9d5baa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱちくりぷんぷん丸 | 作成日時:2022年3月16日 10時