むすすぴ小説 (ページ7)

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当時のあろまはモテた。

聞いた話だけど、文化祭に来た他校の女の子何人かに告白されたとか。
本人の口から聞いたわけじゃないから、本当かどうかは分からないけどね。
聞いてみようと思ったことはあるけど、臆病な私は聞けなかった。

だって、もしその中の誰かとあろまが付き合ってなんかいたら、私の恋は終了じゃない？

ただ、怖かったんだ。

この幸せすぎる毎日が、崩れてしまうんじゃないかって。
仲のいい友達という関係はこの上なく心地よいのだ。
何度もぶち壊してやるわ！と意気込んだけど、感情に身を任せてもきっと後悔しか残らないと思ったから今まで何もできなかった。

...なんて。
こんな風に自分で言い訳を無理矢理つけて、逃げてるだけなんだよね。結局。
バカだなあ、わたし。

本当は少しぐらいは可能性があるんじゃないかって思ってるじゃない。
もしかしたらって本当は考えてるのに。

でも、自分が傷付かないようにしかできないことが悔しくて、身体の中に溢れて、涙になって、私の頬を濡らした。

って、いけないいけない。
あろまのゲームに涙が落ちたら怒られるよね。

そもそも、なんであろまに会いにきたんだっけ。
呼ばれて来たんだっけ？
普通に呼ばれてほいほい行っちゃう私も私か。
きっと、少し期待してたんだろうな。

あー、もう、何泣いてんだ、私。
だめだ、帰ろう。
今日は家で思いっきり泣きたいな。

「あろま、...用事、思い出したから今日は帰るね。お邪魔してごめん」

パソコンに向かうあろまに精一杯の明るい声でそう言って、席を立った時だった。