この闇を焦がす時 (ページ10)

今日:14 hit、昨日:9 hit、合計:103,813 hit

10 ページ10

fukazawa side

照が拾ってきた女の子は
記憶をなくしているらしい。

それを聞いた佐久間は
“話になんねぇ。使えないんならいらねぇ”
なんて言ってるけど…

でも、あべちゃんが言ったんだよな。

阿『あの子、目覚める直前に叫んだんだよ、
“コージ”って』

『コージ？』

阿『うん、誰かの名前、だと思うんだけど、
あの後聞いても、わからないって…』

もしかしたらその“コージ”というのは
あの店の関係者かもしれない。

そしてやはり、今回の爆破事件に
関係あるかもしれない。

そんな確証はどこにもないけど、
賭けてみたいって思った。

だから…

『なぁ…あの子、ここで面倒見てもいいかな…』

気づけばそう、言っていた。

佐『はぁ！？
ふっか、お前それ、マジで言ってんの？
記憶喪失の女なんて、危険でしかない…！』

『わかってる…、でも俺は、マジだよ。
あの子の記憶が戻ったら、何か情報が……』

佐『戻んなかったら？？
戻んなかったらどうすんだよ！
仕事の邪魔にしかなんねぇだろ！』
　

岩『佐久間、落ち着けって！
どっちにしても今は、怪我したままのあの子を
放り出す訳にはいかねーだろ？』

照の言葉に、佐久間はハッとして黙り込んだ。

『とりあえず…さ、あの子が今回の事件に
関係あるかどうかもわかんないし、
このまま様子見ることで、いいよね』

俺の提案に、みんな(一人渋々だけど)頷いた。