この闇を焦がす時 (ページ42)

今日:16 hit、昨日:9 hit、合計:103,815 hit

42 ページ42

shota side

深『俺たちは、マトリの闇組織、“Snow”だ』

深澤、という男がそう言った時
蓮が‘あっ’と声を上げた。

『蓮、何か知ってんの』

蓮『樹さんの下に付いてたとき、‘Snow’がどうの
って話してるのを聞いたことがある…』

岩『樹……、』

Aを助けてくれた、という
筋肉質の背の高い男が呟いた。

深『俺たちは、マトリが介入できない…つまり、
非合法の案件を担当している。そして今追っているのは…
六石グループ、だ』

Aと蓮、そして俺も、思わず息を飲んだ。

宮『上手くいけば、翔太たちの力になれるかもしれない』

涼太が真っ直ぐな目で俺を見た。
思わず目を伏せて隣を見ると、蓮がゆっくりと頷いた。

『俺は…生まれてすぐの状態で、タオルに包まれて
施設の入口に置き去りにされていたらしい。
だから、親のことも何もわからない。
物心ついた時には、Aも康二もそばにいて
まるで家族みたいに過ごしてた』

深『さっきから名前が出てる康二、というのは…？』

蓮『園長先生の、息子さんです』

蓮が俺の代わりに返事をすると、
深澤さんはうん、と頷いた。

『─そして小学生の時、蓮が施設にやってきた。
蓮の両親は、麻薬中毒で亡くなった。
一人残された蓮は、親戚中でたらい回しにされた挙げ句に
施設へ連れて来られたんだ───』

───施設へ来た時の蓮の状態は、酷かった。

両親の変わり果てた姿を見ただけでもショックだろうに
きっと大人たちにも罵声を浴びせられたのだろう。
蓮は人と関わることを極端に嫌って
いつも部屋の隅に隠れていた。

そんな蓮を園長先生は、優しく見守っていた。
両親は麻薬なんかしない、って言う蓮の話を
ちゃんと聞いてくれてた。

園長先生は、本当にお母さんみたいで
みんな、大好きだったんだ。

なのに……、

幸せの日々は、無惨に砕かれたんだ──。