この闇を焦がす時 (ページ12)

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hikaru side

阿『ねぇ君？どうしたの、大丈夫っ！？』

診察ルームから聞こえてきた、阿部の叫ぶ声。

宮『あの子か？何かあった…？』

『行ってみよう！』

舘さんと部屋に飛び込むと、
耳を塞いだまま倒れている彼女と
その彼女を抱きかかえる阿部がいた。

『いったい、どうし…』

阿『わからないけど、急に叫んで…
気を失ったみたい…とにかく、ベッドへ』

.

ベッドへ横たわった彼女は
青白い顔をしていた。

.

宮『…それで、急に耳を塞いで叫んで…
気を失った、と』

阿『うん…』

舘さんが聞いた状況を確認すると
阿部は何か考えているようだった。

『…何か気になることでもあんの？』

阿『彼女さ…“生きる”って言葉に
強く反応したんだよ。
…それから、また…、“コージ”って…』

“コージ”
彼女の意識が戻る前にも
発したという言葉。

宮『…そのコージって…
多分名前なんだろうけど、彼女の記憶喪失に
何かしら関わってるってことだよね』

.

深『どっちにしても、あの店を調べなきゃ
なんねぇんだから、何かわかるかもな』

佐『……チッ、面倒くせぇ…』

ラ『従業員リスト、入手してみるよ』

振り返ると、いつの間にか
ふっかと佐久間、ラウールが扉にもたれて
立っていた。

『…え、何、お前らもいたの？』

深『いたわ！珍しくあべちゃんのデカい声が
したからさ、びっくりしたんだよ』