この闇を焦がす時 (ページ1)

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your side

ふぅ、とタバコの煙を燻らせる。

ここは、新宿歌舞伎町。

とある理由でキャバ嬢になって1年。

それなりの地位も築いてきた。

…まだ、No.1では、ないけど、ね。

…なんて、休憩室で寛いでいると、

急に聞こえた、ﾊﾟﾝﾊﾟﾝｯという乾いた音。

“…なに、今の？”

何だかフロアの方が騒がしい。
と、その時、休憩室のドアが
勢いよく開いた。

向『A！逃げろ！！』

飛び込んでそう叫ぶのは、ボーイの康二。

『…え？康二、どうし…』

向『今すぐ逃げるんや！早ぅ！！』

「え、」

康二は私の腕を掴むと、裏口へと向かった。

「ちょ…、康二っ？、待っ……！」

向『説明しとる時間はないんや！』

抜け道を使って裏口へ回った康二は
扉を開くと、ﾄﾞﾝｯと私を突き飛ばして
店の外へ押し出した。

「…え、なにっ！？」

驚いて振り返ると、
悲しそうな顔で笑う康二。

“早ぅ行けっ！！ …必ず、生きるんやでっ！”

そう言ってバタン、とドアを閉めた。

『ね、待って、康二！』

慌ててドアに近づこうとした時…、

爆音とともに壊れた扉。

.

『…えっ…、康二！？…康二ーーーーっ！！』