32* ページ34
『おーい、A、
あんまり川の方へ行くなよ!』
.
Aが浅瀬から少しだけ
川の中を歩いているのが見えて
慌てて叫ぶ。
「ここ、浅いから大丈夫だよーー!」
その声に安心して、また石を探そうと
目線を下げた時だった。
.
.
バチャン!!
「…!れ……、!うぐっ!」
.
大きな水音に気づいて顔を上げると、
溺れてもがくAの姿。
.
『A!!』
石に足を取られながらも
必死でAの側まで来た俺は
一生懸命Aに向かって手を伸ばした。
『A!!A…ほら、掴まって…!』
バシャバシャと水面を叩きながら、
それでも何とか俺の方に手を伸ばすA。
『と…父さん!!母さん!!誰か、来て!!
Aが、Aがぁ!!!』
Aに手を伸ばしながら
近くにいるであろう親に大声で助けを求めた。
『A、A!、A!!』
必死に手を伸ばすと、やっと指先に触れた
Aの手…
“A!”
何とか掴まえて、引き上げようとした
次の瞬間…
.
バシャン!!
『…!』
足が滑り、自分も深みに落ちてしまった。
“A…!”
水の中でAの手を握ったまま、
必死にもがく。
“僕が…、僕が助けるんだ、Aを…”
そう思っていたのに。
だんだんと苦しくなる息。
奪われる体力。
.
そしてついに
俺は…、手を離してしまったんだ…
そのあと、たくさんの気泡が上がり、
Aが沈むのが、見えた。
.
“…蓮!”
“…A!”
.
遠くで誰かの声が聞こえて、
身体が浮き上がる感覚があったあと
俺は意識をなくした。
116人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みぃ。 | 作成日時:2020年9月17日 12時