切ない恋心をキミに。2 (ページ7)

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shota side

最初はちょっとした喉への違和感だった。

最新のアルバム作成のため、ブースに籠る毎日。
“Snow Manのメインボーカルは渡辺翔太”
そう言われることが嬉しくもあり
プレッシャーでもあった。

『ん…、』

この間から、何か喉に引っかかりを感じる。

だけど、のど飴を舐めても、加湿をしても
どんなケアを施しても、一向に良くならない。

『なんでだよ、』

焦れば焦るほど、思うように出なくなる声。
メンバーの励ましも素直に受け取れなくて
イライラして物に当たったりした。

見かねた滝沢くんに半強制的に
病院へ連れて行かれ、検査をした結果────

“心因性失声症”

極度のストレス、だった。

医『早く治すためには、長期の療養が必要です。
もし無理に歌えば、さらに悪化する可能性もあります』

医者から告げられた言葉は
俺を奈落の底へ落とすには十分なものだった。

『そんな…、ライブも決まったのに…！
歌えないってどういうことっすか！』

滝『渡辺、落ち着け。お前の気持ちはよく分かる。
でも、今無理をすれば、Snow Manとしてステージに
立つことすらできなくなるかもしれない、わかるな？』

『………………』

滝『──1ヶ月。1ヶ月間、お前に自由な時間をやる。
歌と犯罪以外(・・・・・・)なら好きなことをしていい。
───しっかり休め』

それは滝沢くんなりの優しさとは分かっていても
“お前は用無しだ” と言われている気がして
俺は足早に事務所をあとにした。

そして────姿を、消した。