切ない恋心をキミに。 (ページ10)

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your side

結婚式当日。

控室で、純白のウェディングドレスに
身を包んだ私。

“とってもお綺麗ですよ”

って言ってくださるスタッフさんに
愛想笑いをして、溜め息をつく。

パパの会社のため。
そう思って決めた結婚だけど。

“ホンマにお前は幸せなんか？”

康ちゃんには全てお見透し、だったね。

.

“A様、お時間です”

そう言われ、チャペルの入口に向かう。
そこにはすでにパパがいて、
“綺麗だよ”って微笑んだ。

パパと腕を組み、開け放たれた
チャペルの中へと歩んでいく。

その先には、今日から夫となる人が
待っている。

歩みを止め、パパの腕から手を離した
その瞬間だった。

.

『ちょ〜〜っと待ったああああぁぁ〜〜！！』

大きな声と共に、閉じられていた後ろのドアが
もう一度大きく開け放たれた…

そしてそこには…

シルバーのタキシードを着た
康ちゃんが、立っていた。

「こ…康ちゃん！？」

『A、俺、お前がずっと好きやねん！
誰にも、渡しとうないんや！』

康ちゃんが泣きそうな顔で、叫んでる。

この状況、どうすればいいのかわからなくて
戸惑っていると、“A”、とパパが言った。

父『A…、パパのことも、会社のことも
気にしなくていい。
自分の気持ちに正直に、なりなさい』

「パパ…？……いいの？」

父『ほら、康二くんが待ってるぞ』

「パパ…！ありがとう！」

パパに背中を押され、
私はそのまま康ちゃんの元へと駆け寄った。
そしてそのまま、康ちゃんと手を繋ぐと
チャペルをあとにした。

後ろの方で、夫となる予定だった人が
叫んでたような気がしたけど、もう知らない。