切ない恋心をキミに。 (ページ2)

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your side

そっか、出かけてるのか…

顔に出ていたのか、
おばさんは少し笑いながら

『もうそろそろ帰ってくる頃やと思うよ。
帰ってくるまでゆっくりしていき』

そう言って、また奥に引っ込んでいった。

一人になったスタジオ。
辺りをを見渡すと
懐かしさがこみ上げる。

ここでたくさん写真撮ってもらったなぁ。

壁には、七五三や入学など、
色んなお客さんの節目節目の
素敵な写真が飾られていた。

“あ、これ…”

‘それ’はその中では
不釣り合いではあったけど

私の記憶には鮮明に残っているものだった。

.

『ただいま〜、おか……ん？あれっ？
え……、えっ、A…？』

ﾊﾞﾀﾝ、と大きな音を立てて
スタジオに入ってきた康ちゃんは、
状況が飲み込めない様子で
あたふたしていた。

「う…ん、久しぶり。おじゃま、してます…」

『…な、なんや…、いつ…帰って来たんよ？
帰って来たんやったら言うてやぁ、
びっくりしたやんかぁ〜』

「ごめ……」

5年ぶりに会った康ちゃんは
あの頃と全然変わらない優しい笑顔で
でも、男らしくなってて…

そんなつもりなんてなかったのに、
自然に涙が溢れてきた。

『ちょ…A？』

さっきまで笑ってた康ちゃんが
何かを察したように
ふわっと私の肩を抱いた。

『…何があったん？言うてみ？』

頭の上から聞こえる、優しい声。

「康ちゃん…、」

『ん？』

「お願いが、あるの…」

『…お願い…？』

「…うん。…写真、撮って…くれない？」

康ちゃんの身体が、少しだけﾋﾟｸｯとした。

ごめんね…
康ちゃんはカンが鋭いから
きっと良くないことって
わかっちゃったよね…

『写真？…ええよ。
それは……何の…記念、なん？』

それでも、聞くんだね。

.

「…私ね、結婚、するんだ…」