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A side







零の愛車に乗り、現場を出てからしばらく経ったのにも関わらず、聞く勇気が出ない。

でもね、気まずいの嫌だし。
頑張れ私!!


「あの〜、降谷さん?やっぱり怒ってますよね?」

「名前で呼べ。お前は今日はもう仕事終わりだ。」


め…、面倒くさい!!
怒ってる時の零、すごく面倒くさい!


「…零、怒ってる?」

「あぁ、勿論だ。」

「そ、そーですよねー。あはは〜。」

「………。」

「………。」


何!何なの、この謎の沈黙の時間は…!
地獄?拷問?
振り出しに戻っただけじゃん!

お互いに何も喋らず、と言うより喋れずに沈黙が続く。



その沈黙を破ったのは、またもや私。


「あの、零もさ、疲れてるだろうし…、ここら辺で降ろしてくれて大丈夫だよ。あとは電車乗り継げば帰れるだろうし…、もし終電逃してもタクシー呼ぶし…。

……零?」


何度名前を呼んでも反応してくれない零は、相当疲れているのかもしれない。

風見さんに指揮権を任されていた任務に手を貸しに来てくれたんだから。それだけでも十分だ。
それに、零が本庁に用事があるときは、報告書を何枚も書いて提出に備えたり、潜入捜査の報告を上にしたり…と忙しいはずなのに、来てくれたのだ。

それは零の部下である私としては、喜ぶべきことで、感謝しなくてはいけないことなのに、私の心は素直に喜んでくれなかった。


恋人としての私の心は、喜んでくれなかった。



「零、降ろして。
私が呼んでも応えてくれないくらい疲れているんでしょう?
…仕事が忙しいのに迎えに来てくれたことはすごく嬉しかった。」


“警察庁警備局警備企画課”なんて漢字しかない難しい名前の部署に務めている零の大変さなんて、私には計り知れないだろう。


「……A
「でも私は疲れてる零には休んでもらいたい。
だから……っ」


俯いていた私の顎をクイッと持ち上げて、零が口付けてくる。
そっと離れていった零の目は優しく私を見つめていて、切なくなった。

いつの間にか車も止まっていて、私のマンションの駐車場。


「ありがとう、零。じゃあ、行くね。」


車から降りてエレベーターへ向かおうとすると、また後ろに傾く体。

あ…、ヤベ、ヒール折れてたんだった…。


「行けないだろ。ヒール折れてるんだから。」


傾いた私の体を引き寄せたのは、零の腕で、私はその勢いのまま零に抱きついた。






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いちごって美味しいよね - あっさんさん» すみませんでした!うっかり見落としていて…。教えてくださって本当にありがとうございます! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね - ういさん» 感動していただけたことに感動です!!恋愛って自分が思ってるより、案外難しいんですよね…。応援よろしくお願いします! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
うい - 少し泣ける所もありました。感動です! 恋愛って難しいですね。 次の更新楽しみにしてます (2018年8月2日 23時) (レス) id: ab4f966f00 (このIDを非表示/違反報告)
あっさん(プロフ) - こんにちは、すごく面白そうで見てみようと思ったのですが主人公の名前変えられる様にしてもらえないでしょうか、、汗 (2018年8月1日 1時) (レス) id: dd857b1956 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年7月28日 0時

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