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A side
「降谷さん、確認お願いします。」
「ん?あぁ、そこ置いといてくれ。」
零はパソコンから目を離さないまま、ぶっきらぼうにそう告げ、頭をガシガシと掻いた。
ボーっとその様子を眺めていたら、イラつきを隠そうともせず私を睨みつけ、
「俺は忙しいんだ。早乙女、邪魔だ。どっか行ってろ。」
こう言ったのだ。
いくら仕事が忙しいとはいえ、仮にも彼女である私に向かって『邪魔だ』なんて言う奴が何処にあろうか。
流石にこれには頭にきた私は、零に渡した書類を自分の手に戻し、挟んでおいたメモを抜き取り、メモをグチャグチャに丸め、書類を元の位置に戻した。
「失礼しました。降谷さん、お忙しいんですよね。
…その書類で最後なので、上がらせてもらいます。」
怒りを含めた口調でそう言い、自分のデスクへと戻った。
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ツカツカと低めのヒールを鳴らせて、デスクへと歩み寄り、丸めたメモをデスク脇のゴミ箱へと投げ入れる。
「早乙女、ふ…
「風見さん、お先に。」
ニッコリと貼り付けた笑顔で「これ以上何も聞きたくない」という意味を込め、風見さんに笑いかける。
部下達にいつも通りに労いの言葉を掛け、公安部から出た。
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エレベーターに乗り込み、“1”のボタンを連打する。
ゆっくりと閉まっていく扉に多少のイラつきを覚え、小さく舌打ちをかます。
と、前から走ってくる部下が見えたから、慌てて開くボタンを連打した。
「どうしたの?河本くん、そんなに急いで…。」
あんまり急いでエレベーターに乗り込んで来るものだから、零への怒りを忘れて問いかける。
「…いや、ちょっと外に買い出しに行こうかな、と。」(風見さんに『早乙女が心配だから下まで送ってこい』って言われたなんて、言えるわけない…。)
何となく嘘くさい河本くんの言葉も、今はただ面白いだけで、笑ってしまう。
「そっかー。でも、河本くん、あんまり走らない方がいいよ?転んだら大変だし。」
「そ、そうしますね、!」
この後から、彼との会話がなくなり、エレベーターには機械音が響く。
「あ、あの!早乙女さん!」
「わ、何?どうしたの?」
「あの…、早乙女さんって、降谷さんとお付き合いされてるんですか…?」
な、何て子なの…!!
こんなにぎこちない私達の関係を見抜くなんて…、逸材かもしれない!!
「まぁ、一応ね。」
そう答えたところで丁度1階に着いた。
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いちごって美味しいよね - あっさんさん» すみませんでした!うっかり見落としていて…。教えてくださって本当にありがとうございます! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね - ういさん» 感動していただけたことに感動です!!恋愛って自分が思ってるより、案外難しいんですよね…。応援よろしくお願いします! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
うい - 少し泣ける所もありました。感動です! 恋愛って難しいですね。 次の更新楽しみにしてます (2018年8月2日 23時) (レス) id: ab4f966f00 (このIDを非表示/違反報告)
あっさん(プロフ) - こんにちは、すごく面白そうで見てみようと思ったのですが主人公の名前変えられる様にしてもらえないでしょうか、、汗 (2018年8月1日 1時) (レス) id: dd857b1956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年7月28日 0時