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A side
私を散々脅した後、風見さんは優しさなのかなんなのか、零に何も言わないでいてくれた。
ただ、『万が一の事があった場合は迷わず報告させてもらう。』と言う言葉を残して。
頬を不貞腐れながら膨らませていると、隣から岩下くんが私に声をかけてくる。
「早乙女さん、見てください。フグです。」
そう言って岩下くんが見せてくるのは、頬を膨らませた私の顔写真。
確かにちょっとフグっぽいかも…。
「って、ちょっと!!私はフグじゃない!人間!!に ん げ ん !!」
仕返しに岩下くんの頬を片手でむにゅっと潰して、写真をパシャりと撮って見せつけてやる。
「見て、岩下くん。タコだよ。」
「早乙女さん、僕の写真のほうが傑作ですね。」
「何を言ってるんだね、君は。よし、それなら皆にアンケート取ろうじゃないか。」
「いいですね、受けて立ちます。」
そう言って、お互いがお互いの顔をA4の紙にプリントアウトして、ホワイトボードに貼った。
「はい、注目ーー!!」
声をかければ一斉にコッチを向く部下達。
流石、普段零の恐怖に晒されてるだけあるわ。
「どっちが似てる?」
ホワイトボードをバンッと叩けば、皆から歓声が上がる。
仕事ばかりで退屈していた公安部の皆は零がいない今、ハメを外しに外しまくっている。
普段厳しい零とは真逆に不真面目な私が皆に話題を持ちかけたことにより、さらにそれはヒートアップする。
「早乙女さん、ブッサイクな顔してますね!!」
「イヤ、あの早乙女さんもありじゃないか?」
「岩下、恋人出来ない理由分かったわ。」
「2人とも素はいいのになぁ。」
なんて勝手な声が飛び交う中、岩下くんが固まった。
「どうしたー、岩下くんよ。私の素晴らしいカメラ技術に恐れをなしたか。」
「い、いや…、僕、トイレ行ってくるっす。」
「オイ、逃げるのか!!」
「早乙女、これはどういう状況だ?」
後ろから聞こえるドス黒い声に、首をギギギと鳴らしながら向けると、案の定そこにいるのは鬼ゴリラ。
「やっべ、鬼ゴリラだ…。」
即逃げ出すも、鬼ゴリラに敵うはずもなく、直ぐに捕まってしまう。
「お許しを〜!!お願いお願い、悪気0%!!」
「………。」
零は無言で私の襟を掴んで第2会議室へと引きずり込んだ。
襟持って引きずられるの、今日2回目なんですけど…。
そんな事を思いながら1時間後の自分の哀れさを思いやった。
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いちごって美味しいよね - あっさんさん» すみませんでした!うっかり見落としていて…。教えてくださって本当にありがとうございます! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね - ういさん» 感動していただけたことに感動です!!恋愛って自分が思ってるより、案外難しいんですよね…。応援よろしくお願いします! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
うい - 少し泣ける所もありました。感動です! 恋愛って難しいですね。 次の更新楽しみにしてます (2018年8月2日 23時) (レス) id: ab4f966f00 (このIDを非表示/違反報告)
あっさん(プロフ) - こんにちは、すごく面白そうで見てみようと思ったのですが主人公の名前変えられる様にしてもらえないでしょうか、、汗 (2018年8月1日 1時) (レス) id: dd857b1956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年7月28日 0時