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A side






重い瞼を開くと、眩しい朝日が差し込んでくる。


光を避けようと布団を頭まで引っ張りあげようと体を動かすと、背中側にある、温かな温もりに気がつく。


布団に漂うのは、大好きな人の匂い。


ふわふわした意識の中、私はコロンと寝返りを打ち、零の体に自分の体をすり寄せた。


零の温もりと、匂いに包まれてだんだんと瞼が下がって行く。


朝の光が差し込む中、私は二度目の眠りについた。





.


降谷 side




朝目を覚ませば、Aの香りがとても近くに感じられた。

俺の体に添うように眠る彼女は未だすやすやと寝息を立てている。



コイツ、黙ってれば可愛いのにな…。
イヤ、でも黙ってなくてもモテてたな…。



無防備な彼女の唇にそっと口付けを落とし、朝食を作るために、名残惜しさを感じながらもベッドから出た。





.


A side




二度目に目を覚ますと、寝室にまで漂ってくる、お腹を空かせる匂い。

いつもならしない匂いに多少の戸惑いを覚えつつ、ゆっくりと起き上がる。




キッチンへと足を進めると、零の姿があった。

何処から出してきたのか、エプロンまで付けている。

零の背後に回って、後ろから抱きつく。
首には手が届かないから、腰に。


「ん?Aか。おはよう。」

「おはよ…。零、いいお嫁さんになるねぇ。私んちに嫁入りしないかい〜?」


腰に回した腕の力を強め、さらに体を密着させると、零の体が少しピクリと動くのが、面白くて、それを繰り返す。


「A。お前、寝ぼけてんだろ。さっさと顔洗ってこい。」


キッチンから弾き出された私は、素直に顔を洗いに行く。


顔を洗って、髪を梳して、ぼーっとしていた頭が少し冴えてきた。


さっきの寝ボケた脳みそじゃ気付かなかったけど、顔洗ってこいって言った零の声、ちょっと怒ってた…。

逃げたい…。



怒った時の零を思い出して、咄嗟に逃げようとするが、ここが私の家だと言うことを思い出す。
逃げ場ないじゃん。



まだ完全ではない頭が思いつくのは、素直に謝ることのみ。



ある意味重い足を進めて、ダイニングにちょこっと顔を出すと、零とパチっと目が合った。


「何してるんだ、A。早くこっち来い。」

「零…、その、さっき、ごめんなさい。料理の邪魔して。」

「もういいから、ほら、早く来い。」


零の柔らかい表情を見て、安全だと本能で悟った私は一気に軽くなった足を、零の元へと向けた。





.

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いちごって美味しいよね - あっさんさん» すみませんでした!うっかり見落としていて…。教えてくださって本当にありがとうございます! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね - ういさん» 感動していただけたことに感動です!!恋愛って自分が思ってるより、案外難しいんですよね…。応援よろしくお願いします! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
うい - 少し泣ける所もありました。感動です! 恋愛って難しいですね。 次の更新楽しみにしてます (2018年8月2日 23時) (レス) id: ab4f966f00 (このIDを非表示/違反報告)
あっさん(プロフ) - こんにちは、すごく面白そうで見てみようと思ったのですが主人公の名前変えられる様にしてもらえないでしょうか、、汗 (2018年8月1日 1時) (レス) id: dd857b1956 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年7月28日 0時

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