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降谷 side
ユネクロの店内で、俺のスーツの後ろを掴んだAを連れ回していると、ふと違和感に気付く。
コイツ、いつもより静かだな。
いつもなら口出ししてきそうなところなのに何も喋らない彼女を気付かれないように覗き込めば、普段よりもとろんと下がった彼女の目に、少々焦る。
部屋着選びを急いで再開し、必要なものをどんどん手に取っていく。
その間も彼女は何も喋らない。
下着コーナーに来たところで、彼女を待たせる。
何でかって?そんなの、決まってるじゃないか。
他の男もこの場にいるのだ。他の男のパンツ選びしてるとこなんて、見て欲しくないからな。
此処でも、普段なら『何で私が待たないといけないの』だとか言いそうなところなのに、返ってきたのは欠伸混じりの可愛らしい返事。
此処も急いで選び、会計へと進む。
支払いをしている時だけ、彼女の瞳が少し鋭くなった。
俺の目の前には女性店員。
恐らく、嫉妬してくれているんだろう。
そういう気持ちをひた隠しにする彼女の珍しい一面を見れて心が温かくなる。
店を出て、人気があまりなくなると、元々覚束なかった彼女の肩を抱き寄せ、車へと向かった。
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助手席に座らせた途端、眠りに着いた彼女を乗せ、マンションへと戻る。
マンションの駐車場に車を停め、彼女のポーチの中から部屋のキーを出し、車から降りた。
助手席のドアを開け、すぅすぅと小さな寝息を立てる彼女を抱き上げ、エレベーターを登った。
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部屋に入り、彼女をベッドへと運ぶ。
彼女の寝室は、前とほとんど変わらない、殺風景な部屋で、色味もほとんどないシーツの上に彼女を座らせる。
「A、着替えよう。それじゃ、寝づらいだろ?」
ゆさゆさと彼女をゆすり起こすと、うっすらと目を開け、コクリと頷くと、俺の首に手を回し、抱きついてきた。
「離せ、用意してやるから。」
「ん。」
素直に俺を離して、いきなり上の服を脱ぎ始める彼女。
丁寧にたたまれていた短パンとキャミソールを手に取り、彼女の元へと戻れば、そこには下着1枚になっている彼女の姿。
瞬間理性が崩れかけるも、慌てて立て直す。
また眠ろうとしていた彼女にデコピンをして、服を渡す。
「俺は風呂入ってくるから、着替えとけよ。」
そう告げ、寝室を後にした。
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いちごって美味しいよね - あっさんさん» すみませんでした!うっかり見落としていて…。教えてくださって本当にありがとうございます! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね - ういさん» 感動していただけたことに感動です!!恋愛って自分が思ってるより、案外難しいんですよね…。応援よろしくお願いします! (2018年8月6日 23時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
うい - 少し泣ける所もありました。感動です! 恋愛って難しいですね。 次の更新楽しみにしてます (2018年8月2日 23時) (レス) id: ab4f966f00 (このIDを非表示/違反報告)
あっさん(プロフ) - こんにちは、すごく面白そうで見てみようと思ったのですが主人公の名前変えられる様にしてもらえないでしょうか、、汗 (2018年8月1日 1時) (レス) id: dd857b1956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年7月28日 0時