Epilogue 8 ページ8
降谷 side
「お前の事を、今も変わらず愛しているんだ。」
「…照れるから、そんなハッキリ言わないでよ。」
赤井と彼女が二人きりになる時間が少しでも減るようにと、仕事も早々に切り上げ駆け付けてみれば、病室から聞こえたのは、そんな会話。
愛する彼女の声と、今は少しは薄らいだものの、未だに憎い彼奴の声で紡がれたその言葉に腸が煮えくり返る思いだった。
気が付けば病室に足音をドスドスと立てながら、ドスの効いた声でAの名前を呼び付けていた。
「A…。」
途端に顔を驚きの色に染めたAの顔を上へと向かせて、その形の良い唇にキスをした。
深い深い口付けを落とす俺に抵抗するAに、無性に腹が立ち、苦しそうに顔を歪める彼女に構わずキスを続ければ、ふっとAの体から力が抜けてその細い体がベッドへと崩れ落ちてしまった。
「…男の嫉妬は見苦しいぞ、降谷くん。」
「赤井…、お前、いつからAに…!!」
「勘違いも甚だしいぞ、降谷くん。」
「うるさいっ!!」
「はぁ……、手を焼かせるな、お前達は。」
何か訳知り顔で、しかも上から目線でそう言ってくる赤井に怒りが溢れ出して、その勢いのままに赤井の胸倉を掴みあげた。
「…Aは、絶対に渡さない。」
「安心しろ、降谷くん。
…俺の気持ちはあの時彼女に…明美に捧げたままだ。」
「……はぁ?」
「だから、勘違いだとさっきから言っていただろう?
早乙女は、自分があんまりにも長い間眠っていたものだから、君が他の女に乗り換えていなかったかどうかを気にしていたんだ。」
「………。」
いや待て、俺、恥ずかし過ぎやしないか?
だけど……、ヤキモチ妬いてるA、可愛すぎだろ。
「……すまなかったな、赤井。」
「君が素直に謝るとは、珍しいじゃないか。」
「…今回は明らかに俺に非があった。
それに、Aの誤解を解いてくれたのなら、それにも感謝はする。」
赤井はふっと鼻で笑い、病室を後にした。
残ったのは彼女と俺の二人きり。
当たり前のようにAの隣に座れる喜びを、痛いほど噛み締めながら、Aの頬をそっと撫でた。
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年11月4日 2時