検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:36,447 hit

Epilogue 6 ページ6

降谷 side






いつもの様に軽口を叩き合える相手が戻って来てくれたことに、今俺はとんでもないくらい満足している。

この2年間は、五体満足でも心に大きな穴が空いたようだった。

Aが目覚める事を祈りながらも、Aの目覚めない現実から目を逸らし、現実逃避をしていた俺のその時の状態は、生きていても、生きていないのと同等だった。


目覚めたAは、一度命の危機に瀕したからなのか、少々大胆になっていて。思わず笑みがこぼれる。
きっと、この病院の看護師の事もあるんだろう。俺も気付いてしまうほどさっきから、チラチラと視線を向けられている。

俺は、A以外にはもう目にすら入らないのに、そんな小さな事でヤキモチを妬いているAが酷く可愛らしく思えた。


RX-7に乗り込み、明るくなったスマホの画面を見て1人ニヤつく。
1人でスマホを見てニヤついているなんて、傍から見たらヤバい奴なのだろう。

それでもニヤつかずにはいられない。
先程のAの大胆なキスといい、愛らしい笑顔といい、今スマホの画面に写っている無防備な寝顔といい…。

え?寝顔をいつ撮ったかって?そりゃ、Aの病室に行った時だろ。
俺が見舞いに行った時にはもう眠ってたAの寝顔があまりにも可愛らしくて、酸素マスクがついていないことが嬉しくて、ついついシャッターを切ってしまっていたのだ。


他にもAの写真は山のように沢山ある。
ほとんど病室で撮ったものだが、病院の中庭で撮ったものだってある。


どの写真でも弾けるような笑顔を浮かべているAに、俺の目は惹き付けられ、改めて自覚をする。

『俺はコイツに心底惚れてるんだ』

と。



風見に戻ると連絡を入れてから、愛車のハンドルへと手を掛け病院を後にした。







.

Epilogue 7→←Epilogue 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (103 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
358人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年11月4日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。