Epilogue 6 ページ6
降谷 side
いつもの様に軽口を叩き合える相手が戻って来てくれたことに、今俺はとんでもないくらい満足している。
この2年間は、五体満足でも心に大きな穴が空いたようだった。
Aが目覚める事を祈りながらも、Aの目覚めない現実から目を逸らし、現実逃避をしていた俺のその時の状態は、生きていても、生きていないのと同等だった。
目覚めたAは、一度命の危機に瀕したからなのか、少々大胆になっていて。思わず笑みがこぼれる。
きっと、この病院の看護師の事もあるんだろう。俺も気付いてしまうほどさっきから、チラチラと視線を向けられている。
俺は、A以外にはもう目にすら入らないのに、そんな小さな事でヤキモチを妬いているAが酷く可愛らしく思えた。
RX-7に乗り込み、明るくなったスマホの画面を見て1人ニヤつく。
1人でスマホを見てニヤついているなんて、傍から見たらヤバい奴なのだろう。
それでもニヤつかずにはいられない。
先程のAの大胆なキスといい、愛らしい笑顔といい、今スマホの画面に写っている無防備な寝顔といい…。
え?寝顔をいつ撮ったかって?そりゃ、Aの病室に行った時だろ。
俺が見舞いに行った時にはもう眠ってたAの寝顔があまりにも可愛らしくて、酸素マスクがついていないことが嬉しくて、ついついシャッターを切ってしまっていたのだ。
他にもAの写真は山のように沢山ある。
ほとんど病室で撮ったものだが、病院の中庭で撮ったものだってある。
どの写真でも弾けるような笑顔を浮かべているAに、俺の目は惹き付けられ、改めて自覚をする。
『俺はコイツに心底惚れてるんだ』
と。
風見に戻ると連絡を入れてから、愛車のハンドルへと手を掛け病院を後にした。
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年11月4日 2時