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A side
いや…、ご愁傷さまは私だった。
「…わかった。食事が終わったらすぐに向かわせる。」
うっわぁ…、零の声、怒ってるな…。
さっきの笑顔向けてちょうだい。お願いだから…、
電話を切った零は私のスマホをとんとんっと操作してから差し出してくる。
「“僕”の連絡先登録しておいたから。
早く仕事に戻れ。風見を余り困らせてくれるなよ?」
僕ってことは、安室さんの方の連絡先…?
「あ、ありがとうございます…?
…怒らないの?」
「今回は、な。最近友達と出掛けられてなかっただろ?
それに、昨夜はAにも頑張って貰ったしな。」
こういう優しいところに、きゅんとしてしまうのは、私も女だから仕方ないだろう。
「…ありがと、零。」
「ほら、楽しんで来い。今夜頑張れよ。」
私の頭をぽんぽんっと軽く叩き、仕事に戻って行った零の背中を無意識にジッと見つめていると、私達が入ってきた時とはまた違う軽い音と一緒にドアが開いた。
「こんにちは!梓さん。」
「あ〜今日、安室さんいるじゃない!」
「あ、蘭ちゃん、園子ちゃん!好きなところ座って!」
女子高校生2人組が店内に入って来て、席に座る。
しかも茶髪の方の子、零見て目ハートにしてるし…。
なるべくそれを見ないようにしながら席へと戻り、美和子と由美に「お待たせ〜」と言って笑顔を向ける。
「ほんとに遅いわよ。それよりA、アンタさ…。あー、私無理。美和子頼んだ。」
「了解。」
「ん?何?」
「A、安室さんと距離近くない?まさか、浮気?」
え…?いつ近かった?距離?え?
私が浮気?同一人物に?流石にそこまで馬鹿じゃないぞ、美和子よ。
「浮気は関心しないわね、A。メッ!」
「…むぅ…。わらひ、浮気なんへひへまへん。」
訳:私、浮気なんてしてません。
向かい側から由美に頬を掴まれ、上手く喋れないが、浮気じゃないことは伝える。
「離へ。わらしは無実ら。」
訳:離せ。私は無実だ。
顔を顰めながらも手は離してくれた由美に笑いかけてから、カラスミパスタを食べる。
早く行かなきゃ怒られるからね。風見さんに。
せっかく零が見逃してくれたんだから、こんな好機を逃すわけには行かないのだ。
「私、すぐ戻んなきゃ風見さんに怒られるからさ〜。今日はありがとね、無理聞いてもらって!じゃ、またね〜。」
急いでカラスミパスタを完食し、3人分の代金を置いてポアロのドアを開いた。
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いちごって美味しいよね - レイナさん» ありまぁ…、全く気が付きませんでした…。ご丁寧にありがとうございます! (2019年2月2日 23時) (レス) id: e4cb51c86f (このIDを非表示/違反報告)
レイナ - 題名の愛してるが愛ししてるになってますよ~ (2019年2月1日 3時) (レス) id: 43b7c4b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年8月20日 13時