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降谷 side
ベルモットに指示されたこともそうだが、何より俺も彼女のことが気になって仕方がなかった。
だが、どんなに探りを入れても入れても“アストロノート”の情報は手に入らなかった。
割とガチで探したのに、だ。
どれだけやっても出てこない情報を探し疲れて溜息を吐いていれば、デスクの端に置いておいたスマホがいきなり着信音を鳴り響かせた。
「なんだ…、」
ディスプレイを見てみれば「非通知」の文字。
おそらくベルモットらへんだろう。
「はい、もしもし…」
『今貴方のスマホにアスの写真送ったわよ。
彼女、あの方に惚れこまれてるみたいだからガードは普通よりも厳重でしょうしね。』
「あぁ…、ありがたいです。それじゃ、切りますよ?」
『えぇ、あの子は出来ることなら逃がしてあげたいから…、頼んだわよ?』
「分かりましたよ。」
ベルモットがここまで真摯に訴えかけてくることは珍しくて、一言くらい言い返してやろうと思っていたのに素直に頼みを聞いてしまった。
新しく受信していたメールを開いて、自分の目を疑った。
「……A?」
.
写真に写っている女性は、確かにAだった。
少しカールしている赤みがかった茶髪に、雪のように白い肌。
大きな瞳は青みがかっていて、髪色と同じ色の長い睫毛に縁取られている。
薄くて形の良い唇は、俺が見たことのない派手な赤色に染められていた。
比較的にいつもふわんふわんしていた雰囲気は欠片も感じさせない。
それでも、間違いようもなく、正真正銘の彼女だった。
「なんでだよ…。」
“あの方に惚れこまれている”ということは、組織内でAに接触することは、ほとんど皆無に等しいだろう。
まずそのチャンスすら与えられない筈だ。
彼女が俺の元から離れていったのが3ヶ月前で、アストロノートが組織に入ったのが3ヶ月前。
可笑しいくらいに証拠は揃っているのに、どうしても彼女ではない、と思い込みたい自分がいた。
なにより、彼女の真意が分からなかった。
警察を辞めて、組織に足を踏み入れた、彼女の真意が。
Aの前では一切組織の話はしなかったはずだ。
ただ、少々危険な組織に潜入調査をしている、とだけは伝えておいた気がする。
組織を簡潔に表すのなら『危険』だと言えるような組織に、どうして彼女は足を踏み入れて来たのだろうか……。
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いちごって美味しいよね - レイナさん» ありまぁ…、全く気が付きませんでした…。ご丁寧にありがとうございます! (2019年2月2日 23時) (レス) id: e4cb51c86f (このIDを非表示/違反報告)
レイナ - 題名の愛してるが愛ししてるになってますよ~ (2019年2月1日 3時) (レス) id: 43b7c4b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年8月20日 13時