検索窓
今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:214,247 hit

count 70 ページ21

A side





紳士な役を演じているのなら必ず手を差し伸べるだろうと思った私は、躓いたフリをしてその善意を利用したのだ。

ほんとにごめんなさい。


沖矢さんのハイネックに手を掛けて少しズラせば、硬くて冷たい機会が指に当たった。


「わ…、ビンゴかよ。」


恐る恐る上を向けばさっきの柔らかい雰囲気とは打って変わって、冷たく私を見下ろす視線とぶつかった。


「赤井、秀一さんですよね?」

「公安の回し者か。厄介だな、安室くんも。」

「貴方、安室さんの職種を見抜いてたんですね?」

「FBIを舐めない方がいいぞ。」

「そうさせてもらいます。」


お互いに1歩も引かず、睨み合いながら話を進める。
流石にここまで見られるとしらばっくれる気も無いみたいだ。
そこは安心。


「なんだ、俺たちFBIを追い出しにでも来たのか?」

「いえ、私は公安からではなく、個人の私欲ためだけにここに来ました。」

「ほう…。」


公安からの使いじゃないと聞けばすぐに目の色を変えて興味深そうにコッチをジッと見つめてくる赤井に、身を引きそうになるも足を踏ん張る。


「貴方がかつてライとして潜入していた組織に潜り込んでいたノックが、世界中で暗殺されたのは知っていますよね?」

「あぁ。…普通に話せばいい。敬語など無用だ。」

「そうさせてもらうね。
私は、その組織を潰したいの。私の、この手で。」

「それで手を貸してもらいたい、と?」

「うん…、まぁそんなとこかな。」


リビングに案内され、大きなソファに腰を下ろして赤井に向かって訴える。
ティーカップとコーヒーカップを持ってシンクから歩いてきた赤井はフッと笑い、私の方にコーヒーカップを置いた。


「嫌がらせでしょ?私、コーヒーいや。」

「お前は今客人としてここに来てるんだぞ?少しは遠慮したらどうだ?」

「だって、そっちミルクティじゃん。見るからに甘そうなのに…、こっちのコーヒーブラックだし。
よし、そんなに私にコーヒーを飲ませたいんなら砂糖いっぱい入れてやる。甘党なの。私。」

「…やめてくれ。悪かった。」


角砂糖を4つ一気に入れようとすれば、赤井は焦ったように私にティーカップを差し出してくる。
素直でよろしい。


「ん、赤井、あんた紅茶淹れるの上手じゃん。」

「そりゃよかった。」


赤井の淹れた紅茶は驚くほどに美味しかった。

不器用そうな見た目をしてても、こんなに美味しいものを作り出せるのだ。

やっぱり人は見た目じゃないな。

count 71→←count 69



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
529人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いちごって美味しいよね - レイナさん» ありまぁ…、全く気が付きませんでした…。ご丁寧にありがとうございます! (2019年2月2日 23時) (レス) id: e4cb51c86f (このIDを非表示/違反報告)
レイナ - 題名の愛してるが愛ししてるになってますよ~ (2019年2月1日 3時) (レス) id: 43b7c4b6ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2018年8月20日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。