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第伍拾漆話 ページ10

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Aちゃんの話題になると、途端に優しい声音になる殺生丸。

今も、愛おしそうにAちゃんを見つめている。

あたしが何を話し掛けても、殺生丸はコチラを見ようともしない。


「ねぇ、殺生丸。」

「…なんだ」

「Aちゃんと、結こ…祝言は、挙げるの?」

「…世が落ち着き次第、直ぐにでも挙げる。」

「そうなの!私達も呼んでね。」

「…そうしよう。」


殺生丸は、もうきっと、他の女性なんて目に入らないんだろう。

種族も全く別の、Aちゃんと挙げる祝言に、全く迷いがない。

本当に、貴方は幸せだわ、Aちゃん。


「人間と人生を共にするのは、怖くはないの?」

「…何故恐れる必要があるのだ?」

「だって、あたし達と貴方達じゃ、与えられた時間に余りにも差があるんだもの。
いつか、必ず。あたし達の方が先に死ぬのよ。」


あたしが例え、犬夜叉と結ばれることが出来たとしても、私と犬夜叉の時間には、どうやっても埋めることの出来ない差がある。

半妖である犬夜叉でもそうなのだから、妖怪である殺生丸はその倍以上だろうに。


「……あたしが貴方達側だったら、耐えられないと思うわ。」

「…その様な生半可な気持ちではない。
時間の差が何だというのだ。それくらいの壁など障害にもならぬ。」


迷いなく言い放った殺生丸は、声のトーンも、顔の表情すらも変えずにそう言った。

ただ片方しかない腕で、風に揺られたAちゃんの前髪を、そっと払っただけ。


あたしなんて、想像しただけでも手が震えてしまうのに。


「強いのね、貴方は。」

「私はこの世で最強の妖怪だ。当たり前だろう。」


その最強である妖怪が、1人の人間の女の子に恋しちゃったんだものね。

こんなにも愛されてるんだから。


Aちゃん、早く目覚めないかしら。




そっとAちゃんの頬に伸ばした手は、殺生丸の尾によって遮られてしまった。





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1003 Nina(プロフ) - 一気に読ませていただきました。美しい終わり方で暖かい気持ちになりました。別作品も読ませていただきたいと思います! (2022年3月30日 2時) (レス) @page19 id: 85e410e486 (このIDを非表示/違反報告)
月篠 - もう最後泣いちゃいました。とても面白かったです!! (2020年8月17日 10時) (レス) id: 776853be40 (このIDを非表示/違反報告)
0wh790112p351y(プロフ) - もう最後泣きました、殺生丸様来た時泣きました。めちゃくちゃ面白いです! (2020年5月31日 10時) (レス) id: ff99cc9e63 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます。嬉しいです(´∇`)更新頑張らせて頂きます! (2020年5月28日 1時) (レス) id: afb320640f (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - とても面白かったです。おもわず一気見してしまいました。これからの更新も楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: b2104f9538 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いちごって美味しいよね | 作成日時:2019年5月1日 2時

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