53話 ページ6
東雲 A 様へ
すまない。
俺はまたAの元から離れてしまう。
Aの願いを聞けなくてすまない。
Aは俺がいなくても、もう立派に刑事としてやっていける。
なんて言ったら、お前は怒るんだろうな。
俺は、誰かを守る役目を果たしたかった。
だが、それは槙島の存在で変わった。
槙島はこれからも人の手で人を殺め続けるだろう。
なのに法律では裁けない。
俺はそこにいる限り、あの男に手出しできない。
今度の一件で思い知ったよ、法律で人を守れないって。
だから俺は出る。
ここで槙島を逃せば、俺は俺自身を許せなくなる。
いつも自分勝手でAには悪いが、お別れだ。
次に会う時はお前は俺を裁く立場にある。
Aに裁かれるなら、俺は大歓迎だ。
A、お前はいつも俺を支えてくれていた。
学生時代からずっと。
Aがいたから俺はここまでこれた。
それだけは変わらない。
こんな事になるまでずっと言えなかったが、俺はAを愛してる。
それもこれまでもこれからも変わらない。
Aは俺の人生で唯一愛した女だ。
だからこそ、俺以外のやつと幸せになってくれ。
狡噛慎也より
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作者名:空 x他1人 | 作成日時:2023年1月18日 22時