59話 ページ12
あれから2ヶ月たった
私は慎也くんを見逃した
それについてシビュラシステムから呼び出しがあった
・
『狡噛慎也を逃がしたのは何故ですか?』
あ「彼を逃がさなかったらあなた達は彼を殺したでしょう?槙島を殺したのは私でもある。彼の代わりに私を殺す?」
『あなたは理想的な監視官です。槙島聖護を殺してもなお健康なそのサイコパスと明晰な頭脳。それは来るべき新たな時代の市民に示すべき指標として理想系と言えます。そしてあなたはシビュラシステムを憎みながらも、システムに対して必要であると評価している。そんなあなたを懐柔できる手法を確立したい。よって、あなたを処罰する必要性はありません』
・
思い出してもムカつく
この2ヶ月で1係は随分と様変わりした
死んだ秀と征陸さん、そして逃亡した慎也くん
3人の執行官がいなくなった
よって、執行官の補充が行われた
そのうち1人はギノさん
あの事件以前から上昇していたサイコパスがあの事件で140まで上昇し、回復の見込みがないため、執行官に志願した
征陸さんが亡くなってギノさんも変わった
その様子はまるで征陸さんのようで……
改めて親子なのだと感じた
そして、私は
「東雲刑事課長、本日付で刑事課に配属された霜月美佳です」
刑事課課長になった
これもシビュラシステムの判断だろう
そして霜月美佳さん
彼女は王陵璃華子の事件の時の被害者の友人
雨の中で泣いていた彼女
未成年ながらもシビュラに適性を見出され、18歳という異例の若さで本日監視官として刑事課に配属された
あ「もう、立ち直れたかしら?」
霜月「…はい。泣いてばかりではいられませんから」
そう真っ直ぐな目で答えた彼女
朱ちゃん、ちょっと大変かもね
なんて思いながらも、私は笑顔で答える
あ「そう。霜月監視官、頑張りなさい」
霜月「はい!ありがとうございます」
・
慎也くんは何をしてるのかしら
この2ヶ月で何もかも変わった
それはきっと慎也くんも同じ
でもなんでかな……
慎也くんが愛してると、また会えると抱きしめてくれたからかな
なんでかあの日から心が安らいでいる
すり減っていた精神が、回復したような気がする
だけどね、忘れないよ
私の手からこぼれ落ちた人達のことは……
第1章【完】
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作者名:空 x他1人 | 作成日時:2023年1月18日 22時