49話 ページ2
秀……
誰もいなくなったその場で、私は涙を流した
守れなかったのはこれで何回目だろう……
なんで……
なんで秀まで……
私の大切な人はいつも私の手からこぼれ落ちていく
もうここら辺が限界かもしれない……
そう心が折れる音が聞こえた
・
地上まで上がると、やっとデバイスの通信が復活した
宜野座『槙島は逮捕。ヘルメット集団も壊滅。1係に戻るぞ』
そうギノさんの連絡が来た
言わないと……
あ「ギノさん……私、秀のこと撃った」
宜野座『は……?縢を撃った?どういうことだ!』
私はそれに返事せず、1係に戻った
・
宜野座「A!縢はどうなったんだ!」
私の姿を見た瞬間に詰め寄ってくるギノさん
あ「……死んだよ。秀は私が気を失っていた少しの間に逃亡しようとした。だから……殺した」
なんか……
私ってホントに酷い女かもしれない
こんなにも秀が死んで悲しくてやるせないのに……
こんなにスラスラと嘘をつけるなんて……
もうこの仕事を続ける気力がない
もう心がボロボロだよ
征陸「あの縢がホントに逃げたのか?」
あ「征陸さん……それは私を疑っているということですか?私が好きで秀を殺すとでも?」
私にしては珍しく強い口調が出てしまう
狡噛「……落ち着け。Aは少し休んだ方がいい」
宜野座「……あぁ。縢の件の報告書は明日提出しろ」
ギノさんの言葉に頷いて、私は1係を出た
・
まだ秀の血を流していなかった
私はシャワールームで服を脱いだ
鏡に写るのは顔や手に秀の血がついた自分
なんて姿だ……
秀……
ごめんね……
私はそう思いながら、シャワーを浴びた
途中、涙も流れたが、シャワーと混ざりあって、消えていった
・
狡噛「A」
シャワールームから出ると慎也くんがいた
あ「……なに?」
私にしては素っ気ない
だけど、もう疲れてしまった
何もかもに
そんな私を慎也くんは抱きしめる
その温もりに……
あ「っ、う、ぁあ」
また涙が溢れる
狡噛「何があったか話してくれ」
慎也くんは私の手を引いて、部屋まで行った
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作者名:空 x他1人 | 作成日時:2023年1月18日 22時