6話 ページ8
あ「ちょっと、かっちゃん〜？」
大学の敷地を出てもなお、私の手を引いてズンズン歩き続けるかっちゃんこと爆心地
流石に男、しかもプロヒの彼の歩く速さに引っ張られるのは、運動不足でタバコ常習犯の私にはキツい
爆豪「かっ……じゃねェ」
ボソリと何か呟いた爆心地
あ「え？」
そう私が聞き返せば
爆豪「かっちゃんじゃねぇ！俺には爆豪勝己っつうれっきとした名前があんだよ」
立ち止まって私を見てそう言った
そういえば、本名聞くの初めてだ
爆豪勝己……か
あ「かっこいい名前だね。勝己」
そう呼べば、満足したのか、手を握り直して今度は私の歩調に合わせて歩き始めた
見上げれば、少し耳が赤くなっている
なんだかんだ言ってコイツにも可愛いところあるなぁなんてね
･
あ「で？どこに向かってるのかな？」
大学から少し離れた所に停められていた爆心地改め、勝己の車に乗り込む
爆豪「俺の好きな店」
あ「……はぁ」
コイツほんとにいらん事は沢山言うくせに必要な事はほとんど言わん
なんてやつだ
心の中で悪態をついた
……にしても
20歳でこんな高級車に乗れるなんてホントヒーローは稼ぎいいんだなぁ
ちょっと羨ましい
ヒーロー向きの個性を持って生まれてきた事も……
周囲の環境がそうさせたのも……
私とは真逆で、私には無いものだったから……
私はそんな気持ちをかき消すように、窓を少しあけて、黄昏れるように外を眺めた
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作者名：空
| 作成日時：2022年11月22日 6時
